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亜熱帯域に位置する大洋島である小笠原諸島の 植生の成立過程を考える上で,生 物学的な要因で ある植物相 の類縁関係(豊 田,1981)や 島内で の種分化(Ito and Ono,1990;Itoet al .,1997), また近年問題視されている移入植物の生物学的侵 入(吉 田 ・岡,2000)な どとともに,非 生物学的 な要因である水文気候条件は重要な意味を持つ。 小笠原の代表的な植生の一つとされる 「乾性低木 林」(津 山,1969;清 水,1999)は,「 湿性高木林」 (清水,1994)と 対比され,乾 燥 した環境に対応す る植生 として考えられてきた(奥 富,1989)。 これまで,乾 性低木林の立地環境や成立過程に ついては,乾 性低木林の種組成や構造,分 布域 な どか ら推測 されてきた(例 えば,東 京営林 局, 1939;沼 田 ・大 沢,1970;Shimizu and Tabata, 1991;清 水,1999)。 一方,乾 性低木林構成種の形 態的な変化として,清 水(1989)は 葉の性質(気 孔密度,葉 面積,葉 の厚 さ,な ど)が 乾燥に適応 したものになることを示 した。また,乾 燥に対す る植物の生理生態的な反応として,見 塩(1999) は乾性低木林を構成する5樹 種について水分生理 的特性を現地で直接計測し,そ れぞれの種が固有 の様式で乾燥に対応 した水分利用を行っているこ とを示 した。このような現地での実測値に基づい た乾燥に対する植物側の応答に関する直接的な証 拠は,乾 性低木林の成立過程 を考慮する上で重要 であるが,未 だ研究が十分でな く,し たがって乾 性低木林の成立過程 も明確にはなっていない。 乾性低木林 の立地環境 に関 して,吉 田 ほか (2002)は 乾性低木林の分布する父島の初寝 山で

chigaku zasshi/chigaku zasshi

Seasonal Variation of Hydroclimatic Conditions in Chichijima Island, the Ogasawara (Bonin) Islands, as Related to the Establishment of Subtropical Dry Scrub