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工学教育(J.of JSEE),66–2(2018) 1.はじめに 筆者らはこれまでに,金沢工業大学における初年次数 学教育において数学の理解度を向上させるため,学生が 分かり難いと感じている数式や証明の視覚化を試み,学 生の理解度向上に寄与してきた.この手法は数学分 野に限らず工学系専門分野でも同様に効果があると考え られる.工学分野では従来から,式,グラフ,図を用い て学生の理解を深めようと試みているが,それらだけで 実際の現象を理解させるのは難しいのが現状である.特 に,十分に数学的な学力を身に付けていないため,振動 現象を数式で理解し難い学生,また,一方では,数学的 な学力はあるものの,その数式の意味するところがどの ようなものかが良くわかっていない学生も多い. そこで,本学の数理基礎教育課程とロボティクス学科 が協力し,振動現象に関する学習内容を理解しやすく, かつ魅力があるものとするため,数式の3次元表示や時 間変化まで把握できるシミュレーションを用いて振動現 象を視覚化するとともに学生自らがシミュレーションを 実施できるようにした.これまで筆者らは単振動や減衰 振動,連成振動(2自由度系の自由振動)までのシミュ レーションを体験させた場合の理解度を調査するととも に,その元となる2階線形微分方程式の理解度調査につ いて報告した.学生の理解度を通して,教育すべき部 分がどこかを把握できれば,それを重点的に学習させる ことで教育効率の向上が期待できる.さらに,振動実験 により実際の振動現象を測定・分析することにより,数 式と現象とのつながりを実感でき,学生の理解度向上も 期待できる. 現在,本学のロボティクス学科においては,1自由度お よび2自由度振動系の理論全般に関する講義を3年次前 期に行い,振動現象の理解をさらに深めるための実験教 育を3年次後期で実施している.その実験教育におい て,2016年度では理論と実験とのつながりを理解させる ための手助けとして振動シミュレーションを導入した. これまで,機械系の振動現象の教材開発の一環として実 験装置とシミュレーションを組み合わせて,その精度を 確認した報告はあるものの,教育の観点から学生に 実験とシミュレーションを詳細に検討させアンケートを 取った報告は見受けられない.本研究では,連成強制振 動の実験教育を行うとともに,それに対応するシミュレ ーションを学生に実施させ,学生の理解度調査およびア ンケートを行った結果について報告する.

An Attempt to Promote Understanding of Coupled Vibration