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工学教育(J.of JSEE), 65–5(2017) 1.序論 今日では,人工衛星を用いた研究やビジネスが活発化 しており,人工衛星開発の需要は高まっている.人工衛 星にもさまざまな種類のものがあるが,その研究や開発 にかかる費用は膨大である.一方,電子部品などの高機 能化により,安価で小型・高性能な人工衛星を多数打ち 上げることができる状況にある.実際,民間や大学を中 心に小型人工衛星の開発は進んでいる.宇宙に興味・関 心のある学生や一般の方に小型衛星開発へ興味を持って もらう一助として,空き缶サイズの模擬人工衛星「缶サ ット」が注目されている. 実際の人工衛星は,様々な機能を含んだ統合システム である.電源系・通信系・姿勢制御などの基本機能を持つ バス機器と,地球の観測や科学データの収集などの衛星 固有の目的のためのミッション機器が搭載されている. 缶サットでは,人工衛星の基本機能を搭載することがで き,将来的な小型衛星の開発や気象観測などを目的とし た小型観測機の試作機として有効である.缶サットの製 作では,開発の全体像を把握することが容易であり,実 際に測定実験を行いやすい.複合技術の集まった人工衛 星などの宇宙関連技術を概観しやすく,自ら製作に取り 組めるため,教育的効果が高く,宇宙人材教育に有効で あると考えている. 缶サット製作のため,個人がゼロから様々なセンサや 部品を準備し,各センサのための制御プログラムを作成 するのは時間がかかる.そこで,人工衛星開発を目指す 人材育成を目的に,搭載するセンサ類を選択して独自の 缶サットを製作できる缶サットキットを開発した.缶サ ットキット開発の試みの例はあるが,製作の自由 度を制限するため,キットを使用せずに自前で開発する 学生が多いのが現状である.宇宙に興味のある学生や一 般の方が,缶サットキットを通して,人工衛星開発の現 場へつながっていくことを期待している. 今回は宇宙に興味をもつ高等専門学校生(高専生)を 対象とした缶サット講座&缶サット大会で,開発した缶 サットキットを用いて,ミッション立案型の缶サットを 製作,投下実験などをしてもらい,ミッション達成度な どを競ってもらった.著者らは,缶サットキットの開発 を行い,缶サット講座の担当者として参加者の缶サット 製作のサポートを行った.

Development and Results of Mission Planning Variation of CanSat kit “Pi2” for Space Technology Education