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2.共同研究までの経緯 本校は2004年に開校し,昨年で開学10周年を迎え た.開校4年目の2007年に,技術職員に本校の所在地 の地域福祉コーディネータより相談が持ち込まれたこ とが,特別支援学校との関わりの始まりであった.地 域福祉コーディネータのもとに,本校と同じ市内にあ る特別支援学校の教員より教材開発の相談が寄せられ ていた.その相談を受けた本校技術職員から関連する 教員へ連絡・相談があり,地域福祉コーディネータよ り紹介を受けた特別支援教員と本校関連教員・技術職 員との間で最初の教材開発の打ち合わせが行われた. 本校が共同研究している特別支援学校は,児童生徒 のほとんどが車いすを使用しており,肢体不自由児や 医療ケアの必要な児童生徒の小学校から高等学校まで の教育を行っている.授業等で利用する教材は市販さ れている物もあるが,教員が児童生徒の状態にあわせ て自作している物も多く,電子工作・ソフトウェア開 発・機械加工のように,特別支援学校内では簡単に製 作できず,教材製作に苦慮している状況であった. 始めに特別支援学校の教員から開発教材として提案 された内容は,以下の様なものであった.アシスト歩 行機,電動車いす用衝突回避センサ,スイッチ付スト ロー,タッチスイッチの小型化,自作箱車の自走化, 自動ジュース製造装置,綿あめ製造機であった. この時点では,本校には4年次までしか学生がおら ず,卒業研究として取り組むことができなかったため, まずは技術相談の形で対応した.上記の提案内容の内, 本校で対応可能な開発テーマとして「箱車の自走化」 および「スイッチ教材」を手始めに取り上げることと なった.2008年度より,機械システム工学科および情 報通信システム工学科で卒業研究として教材開発の取 り組みを続けている.卒業研究としては,実際の製品 開発を模したサイクルとして卒業研究を考え,図1に 示すようなサイクルで卒業研究を行った. 卒業研究や特別研究で担当する学生には,実際のも の作りや製品開発を意識させ,特別支援学校で求めら れているものが何なのか,開発すべき教材の目的と仕 様について,特別支援学校の教員や使用する生徒との 打ち合わせと現状観察に時間をかけた.まず年度当初 の4~5月に,特別支援学校教員からの聞き取り調査 で,実際に製作するもののニーズ調査および仕様策定 を行い,設計・製作を行う.その後も定期的に打ち合 わせを行い,試作品が完成後,特別支援学校で実際に 使用してもらい改善点の抽出を行う.改良および現場 での利用を交互に繰り返すことで,より完成度の高い 製品を製作するようにサイクルを回す.このプロセス が学生のコミュニケーション力向上に有効であった. 本校担当教員はコーディネータ役とし,担当学生に聞 き取り調査・仕様策定・設計製作・評価の取りまとめ と改善作業を行わせた. 2011年度には,共同研究を行っている特別支援学校

Human Resource Development through Making of Teaching Material with Special Support School