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工学教育(J.of JSEE), 61–1(2013) 1.はじめに いま日本の高等教育は重要な課題を抱え,その解決 に向けての大きな節目にあるといえる.一つはグロー バル化への対応である.社会のあらゆる面でグローバ ル化が進み,大学もその流れに的確に対応することが 迫られている.学内での公用語の英語への転換や教員・ 学生に占める外国人の割合を増加させることなど,世 界に開かれた大学への転換であるが,その道のりには 険しいものがある.大学の秋入学へ向けての議論も, 世界の主流となっている学年歴に合わせようというこ とであり,この側面から捉えることができる.しかし, この問題提起は単に入学時期だけに留まらない.入口 である入学者選抜制度や高校教育との繋がり,出口と もいえる就職や国家試験など社会との繋がりまで含め た日本の教育システムの再構築にかかわる問題といえ る.ギャップタームの有効活用法だけでなく,日本の 大学教育そのものを見直す一つの契機にすべきであ り,これからの議論の深まりに注目したい.これら制 度的な側面の課題に加え,より本質的ともいえるのが 大学および大学院教育の実質化あるいは質保障の課題 である.日本の大学生が勉学に費やす時間の少なさが 問題にされて久しい.大学教育を通した付加価値の大 きさで世界から評価されなければ,留学生を引き付け ることはできない.日本の大学が外から見て優れた魅 力あるものに見えるように大変身することが必要であ る.このような大学が抱える重要課題に如何に応える か,まさに転機にあるといってよい. 高等専門学校(以下「高専」という)も高等教育機 関の一つである.5年間の本科とその上の2年間の専 攻科から成る.その使命は創造的かつ実践的な技術者 の育成であり,大学とは相当異なる技術者教育を担っ てきた.最初に高専が設置されてから今年が50周年に あたる.高専発足時と現在とでは,高専を取り巻く環 境は大きく変化している.その変化は当然のことなが ら高専に対する社会の期待にも変化をもたらすもので あった. 本稿では,高専創設50年を振り返り,その発展と社 会経済環境の変化への対応を明らかにする.そこには 大学が抱える課題とは異なったものがある.また,次 の50年に向けての新たな発展をにらんだ課題や取組に ついて述べる.

The Past and the Next Half-centuries of KOSEN