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内斜視では,強 固に手術に抵抗する症例があ る1).そ の原因の主たるものとして網膜対応異 常(以 後ARCと 略す)が あげられる.斜 視手術 はARCに より大きく影響 され,予 期 した手術 効果を得ることが困難であることはよ く知 られ ている.ま た網膜対応は同一症例で検査方法に よ って異なることがある事 も周知の通 りである. すなわち,検 査条件が分離視に近い程正常対応 (以後NRCと 略す)に なり易 く,逆 に 自然視に 近い程,調 和性異常対応(以 後H-ARCと 略す) を示 しやすい傾向にある. 1947年Swan2)は,生 理的盲点が特別な役割 を演ずるような+12° から+17° の斜視角を持つ 斜視症候群の中で,斜 視手術が奏効 した症例 と, orthopticsを 行わず手 術を施 行 し,cosmetic に満足する結果が得 られなか った症例の7症 例 を発表 した.1948年 にSwanは 更に症例数を増 や し盲斑症候群3)続 いて盲斑機序4)と 名づけて 報告 した. 今回,私 共は手術をも含 めて長期 間orthopticsを 施行 したが手術により全 く斜視角の変化 が認め られないか,ま たは一時的に効果がみ ら れても短期間で元の斜視角に戻 って しまう症例 や,さ らに,手 術後 もある一定の残余斜視角を 強固に持続 しようとする8症 例を経験 した.そ れ らの8症 例の共通点は20~40△ の斜視角に落 ち着 こうとするか,ま たは戻 ろうとする傾向が あることであった. そこで私共は斜視手術に抵抗 した8症 例に対 してその原因を知る意味で視能矯正学的分析を 行い,特 に網膜対応 と盲斑現象について検討 し た.そ の結果7症 例にARCが 認められ,盲 斑 現象は5症 例に確認できた.ま た8症 例のうち 6症 例が整容的治癒 となり,整 容的に満足すべ き眼位矯正が得 られた術前の網膜対応の状態を 更 に分析 した結果,NRCへ の改 善が必要であ る事が判明 したので報告する.

Orthoptic Analysis for Cases of Esotropia with Abnormal Retinal Correspondence