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緒 言 トマトすすかび病(病原菌:Pseudocercospora fuligena) は,1948年に岐阜県で発生が確認されてから,約50年 間問題にされてこなかったが,1996年に宮崎県で再確認 後,2004年から徳島県をはじめ全国的に再確認が続き, 現在までに24府県で特殊報が発表されている。発生確 認からしばらく問題とされてこなかったのは,すすかび 病とトマト葉かび病(病原菌:Passalora fulva)との病 徴が酷似しているため,病徴に基づく診断が難しかった ためと考えられる。しかし,近年,葉かび病抵抗性品種 が栽培されているにも係わらず,トマト葉に病斑が見ら れ,これを顕微鏡観察することで,すすかび病の発生が 再確認されている。 葉かび病の防除対策は,過度の密植を避け,施設内が 多湿状態にならないように湿度管理を適正に行った上 で,発病初期から葉裏にも丁寧に殺菌剤を散布すること とされている。一方,すすかび病に対しても,同様の 防除対策が進められているので,同時防除が可能と考 えられる。葉かび病に対する殺菌剤の効果について,金 谷はトマト葉かび病感染前の殺菌剤散布が有効で,ペ ンチオピラド,ボスカリドおよび TPN 等の予防効果が 高く安定しているとし,渡辺らは殺菌剤の予防効果の 持続期間を,防除価60以上を基準とすると TPN および イミノクタジンアルベシル酸塩が概ね21日間,キャプタ ンおよびカスガマイシン・銅は概ね14日間,ポリオキシ ンおよび DBEDC は概ね7日間としている。 しかし,すすかび病に対して同様の殺菌剤散布で効果 が得られるかは定かでない。また,すすかび病を対象に 登録された殺菌剤は,灰色かび病や葉かび病を対象に登 録された殺菌剤と比べ数が少ない。しかも,限られた登 録殺菌剤の特性を明らかにした報告は,山田の銅水和 剤による胞子発芽抑制と,黒田が日本植物防疫協会に よる新農薬実用化試験から防除価80以上のトリフミゾー ル,イミノクタジンアルベシル酸塩単剤及びポリオキシ ンとの混合剤,DBEDC の紹介をした程度である。そこ で,トマトすすかび病に対する殺菌剤防除体系を作成す るため,すすかび病菌の胞子に対する各種殺菌剤の殺菌 効果を培養試験で検討し,さらに殺菌剤の散布間隔とそ の防除効果を圃場試験で検討したので報告する。

Efficacy of fungicides in the control of Pseudocercospora fuligena on tomato