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2011 年 3 月の東北地方太平洋沖地震と津波が引き金と なって起きた,東京電力福島第一原子力発電所(以下,福島 第一原発と略称)の事故では,多量の放射性セシウムが放出 され,森林等にまだ多量に残っており,その対策は未だ十分 でない。そこで本稿では,放射性セシウムの吸着剤と処理シ ステムの提案について述べる。 原子力安全・保安院発表データによるとセシウム 137 の総 排出量は,1.5 × 10 Bq(重量 5 kg相当),また燃料プー ルからの排出量を合わせると 3.5 × 10 Bqというデータが 報告されている 。セシウム 134 は,放射線量としてセシウ ム 137 と同程度(物質量では 1/15 程度)と推定されている 。 図 1に示した 2016 年 4 月段階での空間放射線量測定値(モ ニタリングポスト使用)の分布 によると,福島第一原発を 中心に,まだ放射線量の高い地域が存在する。主要な放射線 源は半減期の長いセシウム 137 である(半減期 30.0 年)。なお, 2017 年 5 月 19 日の最新放射線量データでは,放射線量の最 大地点は福島県夫沢三区地区集会所(10.125 μSv/h)である。 また,事故後継続されている原子炉冷却作業では,多量の 放射能汚染水が生成・蓄積し,原発内汚染水処理装置(ALPS) によって処理されているものの,その一部は海洋へ放流され る結果となっている。金属や酸化物の沸点の違いなどにより, 福島第一原発事故では大気中へのストロンチウム放出がセシ ウムに比べてずっと少なかったが,汚染水に関しては,スト ロンチウム 90(半減期 29 年)も問題になる。 このような現状を踏まえて我々は,放射性セシウムおよび 放射性ストロンチウム吸着剤と処理システムの開発を行うこ ととした。本稿では主として放射性セシウムについて具体的 な検討を紹介する。

Developing Adsorption Reagents and Treatment Systems for Radioactive Cs