English (United Kingdom)

https://curated-unify.zendy.io/wp-json/zendy-region/v1/featured_content/oa?rat=en

https://curated-unify.zendy.io/wp-json/zendy-region/v1/highlighted_journal/

Global: Zendy Plus annual

Presents the access of premium content as premium feature

Premium Content

Presents the keyphrase highlighting as premium feature

Keyphrase Highlighting

Presents the summarisation as premium feature

Summarisation

Insights

Presents the pdf analysis as premium feature

PDF Analysis

Presents the zaia usage as premium feature

ZAIA

Global: Zendy Tools annual

Global: Zendy Free Plan

Global: Zendy Tools monthly

Global: Zendy Plus monthly

海辺を歩くとフジツボや海藻,ホヤ,貝などをよく目にす る。これらは付着生物と呼ばれる生き物で文字通り岩場など に張り付いて暮らしている。一部の付着生物は食用として有 用な一面がある一方,人間の望まない場所にも多数付着をす ることで深刻な汚損被害をもたらしている。具体例では, 1)養殖網:網の表面に付着することで網目が詰まり網の中の 養殖魚が窒息死する,2)船舶:船底に付着することで船の燃 費に悪影響を及ぼす,3)発電施設:冷却水を取り込むための 取水口内部に付着することでこれを詰まらせ発電施設の運用 に悪影響を及ぼす等がある。このように付着生物による汚損 は養殖・海運・エネルギーと多岐に渡る分野において経済的 損失を与えている。歴史的には古くから人類は付着生物に対 し対策を講じてきた。フェニキア人やカルタゴ人達はピッチ や銅を船底に防汚塗料として塗布し付着生物から船を守って いた 。今世紀半ばには有機水銀,有機鉛,有機ハロゲン化 合物(DDT)などが用いられたこともあったが,亜酸化銅が 一般的に使用された 。1970 年以降からは有機スズ化合物 (TBT,TBTO)を用いた自己研磨型の防汚塗料が主流となり 広く用いられてきた。しかし有機スズ系防汚塗料は非常に高 い防汚効果を有する一方で,雌の巻貝類の雄化現象といった 内分泌攪乱作用を引き起こすことが近年明らかとなった。そ のため有機スズ系防汚塗料の使用は国際海事機関(IMO)に よって製造・使用が禁止された 。 有機スズ系防汚塗料に代わる低環境負荷の新規防汚技術の開 発は周りを海で囲まれた我が国によっては急務の課題である。 付着生物からの防汚戦略は大きく 3つに分けて考えること ができる。ひとつは薬物の徐放による殺生作用であり有機ス ズ化合物や亜酸化銅を用いた防汚塗料はこれに当たる。この 方法は高い効果が期待できる一方で環境負荷が大きいという デメリットがある。その他には殺生作用に依らず付着を避け させる付着忌避作用と,付着後に剥離を誘発させる剥離作用 がある。低環境負荷型の防汚戦略として後者の 2つが好ましい。 これまでに藻類や海綿などの生物から抽出した天然の付着 忌避物質が多数報告されている 。これらは海洋生物に対し 毒性を示すことなく付着生物の付着を阻害することから新規 の防汚技術として期待がされている。しかし今のところ大量 生産方法などの面で課題が残る。その他にもシリコーンゴム による防汚技術も研究されてきている 。これはシリコーン ゴム平滑性や低弾性により付着生物の剥離を誘発することで 防汚性を発揮していると説明されている。しかしながらシリ コーンゴムは従来技術と比較した場合高価であるという一面 もある。 付着生物は水中ならばどこにでも付着しているのだろうか。 ヒントを求め海の中に目を向けてみると付着生物の付着場所 にはある共通点があることがわかる。付着生物は天然物では 岩場や貝殻の表面,人工物ではコンクリートや金属,プラス チックの表面に多く見られるが,生き物の表面にはほとんど 付着が見られない。材料として捉えると前者は硬い固体であ り,後者は柔らかくて水を含んだハイドロゲル状態である。 このことはハイドロゲルが付着生物に対しなんらかの付着阻 害効果を有するということを示唆している。これまでに著者 らはモデル付着生物としてフジツボを用いハイドロゲルの防 汚効果に関する研究を行ってきた。本稿では主にハイドロゲ ルの性質とフジツボの付着挙動の関係,海洋環境下における ハイドロゲルの防汚効果,ハイドロゲル上でのフジツボの成 長について紹介する。

Development of Antifouling Materials Using Hydrogels against Barnacles