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金属材料と樹脂・ゴムなどの異種材料接合技術の開発が 様々な分野で行われている。鉄鋼材料と異種材料との接合技 術は,自動車などの輸送機器をはじめ,橋梁・免震ビルなど に使われており,高強度の鋼板と伸縮性に優れたゴムの接合 体が防振・制振材料として広く普及している。また,CO2削 減による地球環境保護の観点から自動車業界や電機業界など において軽量化の動きが活発化しており,軽量で加工性に優 れるアルミニウム合金と機械的強度に優れた樹脂の接合技術 の開発が加速している。 金属-樹脂の接合方法として,ボルトなどを用いる機械的 接合,接着剤接合,レーザー接合,射出成形などが挙げられ る。中でも,接着剤を用いる場合や射出成形などにより金属 -樹脂を直接接合する場合には基材表面の凹凸形状が接合強 度向上に対して大きな役割を担う。金属-樹脂の接合力を高 めるための前処理として,あらかじめ金属材料の表面に微細 な凹凸を形成する粗面化処理が広く用いられている。金属材 料の粗面化方法は,機械的,物理的,電気化学的,化学的処 理に大別される。機械的方法としてはショットブラストや研 磨処理があり,物理的方法としてはプラズマやレーザー処理 などがある。これらの方法は,部分的な処理性に優れるがア ンカーとしての効果は小さい。電気化学的な方法としてはア ルマイト処理があり,微孔のある酸化皮膜を形成するため樹 脂との接合力向上に対して効果が得られるが外部電源を必要 とする。化学的処理は表面処理液体と接触させる湿式エッチ ング法が一般的に用いられており,複雑な形状部品に対する 均一処理性が高く,外部電源が不要なため加工性に優れるが, 部分的な処理は難しい特徴がある。 図 1に金属材料の化学的粗面化方法を示す。基本的には, 図 1(a)のように基材表面を溶解させる湿式エッチングを利 用したトップダウン型と図 1(b)のように基材表面上に電気 めっき等により金属を析出させ,凹凸面を得るボトムアップ 型がある。さらに,第三の方法として図 1(c)のように金属 基材の溶解反応と処理液中成分との化成反応により表面に凹 凸形状を持つ皮膜を形成させる方法などがある。 本稿では,化成反応を利用した鉄鋼材料の粗面化技術,塩 浴軟窒化処理を利用した鉄鋼材料の粗面化技術,湿式エッチ ング法を利用したアルミニウム材料の粗面化技術についての 具体例を示し,その原理や適用例,接合強度に及ぼす影響な どについて概説する。

Improvement of the Bonding Strength between Metal and Resin or Rubber by the Chemical Roughening Process of Metal Surface