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アルマイトのカラー化は多くの方法が開発され,そのいく つかが実用化されている 。これらの方法の中で陽極酸化に より生成するポア(孔)に化合物を挿入する方法に限定すると, 金属または金属塩を析出する方法 ,ポアの中を染料分子で 染色する方法などがある 。染色法は,工程が簡単で金属 光沢を有する種々の鮮明なカラーが得られるので,多く用い られている。しかし,外部建材用に用いうる高い耐光性を示 すものは限られている。特に淡色で耐光性が不十分である。 これの克服法として,ポアの中に 100 nm以下の無機顔料を 染色により挿入する方法が提案されているが ,無機顔料の 隠蔽性により金属光沢が失われる点や封孔の難しさがある。 一方,耐光性が要求される外装用のカラーアルマイトでは, 高い耐光性を有する金属または金属塩を析出する方法が用い られているが,色の鮮明度や種類に限界がある 。 一般に色素の耐光性は粒子が大きい方が高いので ,染料 より有機顔料によるカラーアルマイトの方が,より高い耐光 性が得られると考えられる。しかし,0.1 μm以下のポアに 有機顔料を挿入する必要がある。そのためには二つの問題を 克服する必要がある。第一の問題は有機顔料の粒子径がポア サイズより小さくできるかである。この問題は,ポアサイズ が陽極酸化の電解電圧に比例するので ,高い電解電圧とリ ン酸処理によるポアサイズ拡大により克服できる可能性があ る。第二の問題は,ポアの中に有機顔料粒子を挿入して析出 する方法の確立である。以前,著者らは,疎水部に酸化還元 活性なフェロセンやアゾベンゼンを導入した界面活性剤の水 溶液に有機化合物を可溶化または分散し,界面活性剤を電解 により分散能を失わせて有機化合物を析出させ,電極上に疎 水性有機化合物を薄膜化できることを見いだした(ミセル電 解法)。そこで,本研究では,アゾベンゼンを導入した 界面活性剤(CnAZPEG,図 1)の還元 により,有機顔料粒子 をポアに析出させて第二の問題を解決し,耐光性の高い有機 顔料によるアルマイトのカラー化を行ったので報告する。

Coloring of Anodized Aluminum with Organic Pigment using Electrolytic Reduction of Surfactants with an Azobenzene Moiety