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ナノポーラス多孔体は,一般的には 2 nm程度から数 10 nm程度の細孔を持つものを指す。この領域では,体積自 由エネルギーよりも表面エネルギーの効果が顕著になり,一 般的な結晶生成においてはエンブリオ(幼核)から結晶核への 臨界半径に相当する大きさである。この領域では,ナノサイ ズ効果が顕著になるため,半導体ではバンドギャップの拡大, 強磁性体では超常磁性への変化がみられるといわれている。 また,種々の反応は表面や界面から起こるため,表面積や界 面面積が非常に大きいナノポーラス材料は,今後のキーマテ リアルになると考えられる。 多孔体は,細孔サイズが 2 nm以下のミクロ多孔体,2~ 50 nmのメソ多孔体,50 nm以上のマクロ多孔体の三種類に 分類される。前述のナノポーラス材料は,メソ多孔体のうち 細孔が小さな領域に相当する。まず,最も細孔の小さいミク ロ多孔体は,ゼオライト等に代表される結晶構造中に細孔を 有する物質が多い。このような物質では,細孔はきわめて均 一なサイズである。メソ多孔体では,例えばガラスの不混和 組織を利用した多孔質ガラスやゲル等があげられる。また近 年では,本稿の次節で紹介するメソポーラスシリカも良く研 究されている。マクロ多孔体の場合は,主にミクロンサイズ 程度の粒子の間隙を細孔とみなして,粒子同士を結合させて 作製する。煉瓦等がマクロ多孔体の代表例である。 このことからもわかるとおり,ミクロ多孔体およびマクロ 多孔体は,ある程度は簡易なプロセスで作製可能であり,容 易に生成する物質が多い。一方で,メソ多孔体については, 多段階に加熱処理を施す必要があったり,リーチング(浸出) や無機-有機複合化などの複雑なプロセスが必要であるなど, 一般的に作製が困難である。このような背景の中で,1990 年 に 早 稲 田 大 学 の Yanagisawaら ,1992 年 にMobilの Kresgeら が,ヘキサゴナル型メソポーラスシリカの合成に ついての報告を行った。 1.1 メソポーラスシリカ メソポーラスシリカは,シリコンアルコキシドやケイ酸アル カリの加水分解・縮重合を経て,最終的にはシリカが形成され る過程において,有機の界面活性剤からのミセル(主に疎水性 相互作用による会合体)の存在下では,親水性相互作用により ミセルの親水部にシリカが重合することを利用して合成される。 図1にその概略図を示す。このような,界面活性剤を使用した ソフト化学的手法を用いたナノポーラス材料の合成 と細孔の化学修飾

Synthesis of Nanoporous Materials by Soft-Chemical Process and Chemical Modification of Pores