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埋設パイプラインを取り巻く各分野の技術の進歩とパイプ ラインに与える干渉は,以下のようである。 2.1 干渉 干渉は,意図しない回路を流れる電流である干渉電流(ま たは迷走電流とも称される)によって誘起される現象で,結 果として金属体の腐食が発生する。干渉には,直流干渉と交 流干渉がある 。直流の干渉電流によって誘起される干渉を 直流干渉,また,交流の干渉電流によって誘起される干渉を 交流干渉と称する。 2.2 電力分野の技術の進歩と電気的干渉 電力分野においては,エネルギー需要の増大に対応すべく 高圧交流架空送電線による電力輸送が行われ,我々の生活を 支えている。一方で,高圧交流架空送電線とポリエチレンの ような高抵抗率コーティングを有するパイプラインが並行し ていると,パイプラインに誘導交流電圧 VACが発生する。誘 導交流電圧は,高圧交流架空送電線と埋設されたコーティン グパイプラインとの並行距離が長いほど高くなるために,こ のパイプラインの交流腐食リスクが高くなる。このことを式 で示すと以下のようになる。 VAC = j・ω・M・I・L ここで, j: 虚数単位 ω: 2πf ( f :周波数) M: 送電線と埋設されたコーティングパイプラインと の相互インダクタンス I: 送電線電流 L: 送電線と埋設されたコーティングパイプラインと の並行距離 相互インダクタンス Mは,送電線と埋設されたコーティ ングパイプラインとの位置関係(送電線の最も弛んだ地点と, 埋設されたコーティングパイプラインとの距離が重要),電 解質の抵抗率によって決まる。高圧交流架空送電線の各相の 電流は 120°の位相差があるが,埋設されたコーティングパ イプラインに誘導される交流電圧は各相の不平衡によるもの である。 1980 年代中頃より,欧米で高抵抗率コーティングが施さ れカソード防食された土壌埋設パイプラインに交流腐食が短 期間で発生した。パイプラインの交流腐食は,すべて高圧交 流架空送電線╱交流電気鉄道輸送路と並行して埋設されてお り,カソード防食電位基準に合格したパイプラインで発生し た。 交流腐食の実例は,梶山によってまとめられている 。最 大の交流腐食速度は,コーティング欠陥面積が 1 cmで発生 するとされている 。 2.3 鉄道分野の技術の進歩と電気的干渉 鉄道分野においては,交流電気鉄道輸送路と高抵抗率コー ティングを有するパイプラインが並行していると,高圧交流 架空送電線同様パイプラインに誘導交流電圧が発生し,この パイプラインの交流腐食リスクが高くなる。この状況は,2.2 で述べた高圧交流架空送電線と高抵抗率コーティングを有す るパイプラインが並行している状況と同じである。また,近 年,電力エネルギーの有効利用及びブレーキの制輪子の摩耗 低減のメリットから回生ブレーキ車両の導入,鉄道輸送力増 大に対応すべく変電所の新設,電力容量のアップが図られて いる。回生ブレーキ車両は,主電動機を発電機として動作さ せ,車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し,他の 力行中の電気車に電力を供給する。または,変電所に電力を 高度文明社会とインフラ管理の落とし穴

Pitfall of Infrastructure Management in Highly Civilized Society