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どの波長範囲をそう呼ぶかについては諸説あるが,概ね波 長 300 nm以下の紫外線は深紫外(Deep Ultra-Violet, DUV)光 と呼ばれる。DUVの中で,波長 200 nm以下の紫外線を,特 に真空紫外(Vacuum UV, VUV)光と呼ぶ。VUV光は酸素分子 や窒素分子によって吸収されるため,大気中での伝搬距離が 短い。分光測定等のために光路を真空にする必要があり,こ のように呼ばれる。遠紫外線(Far UV, FUV)と呼ぶ場合もある。 波長 10 nm前後あるいはそれより短い波長の UV光は,軟 X 線あるいは極端紫外線(Extrem UV, EUV)と呼ばれることも 多く,これと区別するため本稿ではより狭義の定義に従い, 波長 100~ 200 nmの光を VUV光と呼ぶ。この波長範囲では, 窒素分子による吸収が実質上ないため ,分光器を窒素置換 すればスペクトル測定が可能である。また,窒素分子の関与 する光化学反応は考えなくても良い。 VUV波長領域での光源としては,重水素ランプやシンク ロトロン放射光があるが,前者は表面処理光源に用いるには 強度が不足し,後者は手軽に使用することは難しい。これ以 外の光源としては,希ガス原子・ハロゲン原子の励起二量体 (エキシマ,Excited dimmer→ Excimer)からの発光を利用す るエキシマ・レーザーやエキシマランプがある。特に,1990 年代初めに実用化されたエキシマランプ は,ある程度の光 強度が得られ,コンパクトで使用方法が簡単であることから, 使い勝手の良い光化学表面修飾光源として使用範囲が広がっ ている。 エキシマランプの発光波長にはいくつかあるが,われわれ が主に使用しているのは,励起状態のキセノン(Xe)原子 2 つが結びついたエキシマからの発光を利用する,発光波長 172 nm(フォトンエネルギー約 7.2 eV)のランプ(以下,Xe エキシマランプ)である。石英ガラスのこの波長での吸収係 数はゼロではないが,光学材料としてある程度使えることが 実用上の利点である。これ以上短い波長の VUV光では,フッ 化物光学材料の使用を検討する必要が出てくる。 DUV光を酸素分子に照射すると,以下に示す酸素分子の 光化学反応およびその継続反応が誘起される 。

Vacuum Ultra-Violet Processing under Atmospheric Pressure: Surface Modification of Synthetic Resins