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2000年米国ナノテクノロジー政策(National Nanotechnology Initiative,NNI)が発動されたことをきっかけに,ナ ノテクノロジーの研究・開発は急速な勢いで世界的な規模に 拡大した。さらに今年の5月には,NNIの5年間を評価す る報告書 が公表され,米国「国家ナノテクノロジー諮問委 員会」による評価および勧告が示された。その中には,世界 の主要国におけるナノテクノロジー政策の状況もまとめられ ており,日本のナノテクノロジー政策は広範な分野をカバー するとともに,特に基盤整備と計測・分析機器に顕著な取り 組みが見られる,と分析されている。実際我が国では,ナノ テクノロジーを指向した計測・分析技術に関する大規模な研 究プロジェクトへの取り組みが各方面から急速に立ち上がっ ている。たとえば,平成15年度には文部科学省に先端計測 技術・機器開発に関する検討会が設けられ,さらにその検討 結果を受けて,平成16年度から科学技術振興機構(JST)に よる先端計測分析技術・機器開発事業 などが公募されてい る。先端計測分析技術・機器開発事業の計測対象は生体内物 質や環境物質,物性といった特定の領域に限定されてはいる が,研究開発の趨勢として,ナノテクノロジーと計測技術と いうキーワードの組み合わせが重要であると考えられるよう になってきている。 ただし,ナノテクノロジーに関する計測技術は,サブミク ロン以下の大きさの対象物あるいは領域を0.1~1nmの分 解能で可視化しようという問題に特化されている場合が多い。 これに対し,本稿で議論するナノ3次元形状計測技術は,ナ ノメートルというスケールについてより広い概念を含んでお り,実際に先端計測分析機器自体の性能をも支配する,ナノ メートルという精度の製造技術を対象とするものである。し たがって本稿では,ナノテクノロジーを支えるナノ製造技術 としての観点からナノ3次元形状計測技術について論ずる。 では,実際にナノメートルという単位の精度を意識しなく ては製造できないものとはどのようなものであろうか 平成 14年度,筆者はスケールインターフェースに関する調査研 究会の委員として,マイクロマシン╱MEMES╱ナノテク ノロジーにおいて基盤となる計測法や評価基準に焦点を当て た調査研究に参画した。調査結果によれば,実際の生産現場 においても,表1に示すように,微小部品やマイクロ部品の 製造において,その形状・寸法精度がデバイスの特性や製品 性能に大きな影響を与える事例が多くなってきていることが わかっている。たとえば,世界最小を誇る半導体動作確認用 コンタクトプローブの部品の場合,形状は単純な円筒でも, 大きさがミリメートル以下になり,さらに高い精度が要求さ れると,有効な計測技術がない。さらに,次世代DVD技術 では大変重要な基本光学素子となる非球面マイクロレンズの 表面技術 780

3D Surface Measurement Technology of Micropart with Nano-tolerances