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近年,液 晶ディスプレイ用薄膜 トランジスタ(TFT)の 材 料として,多 結品シリコン(poly-Si)薄 膜が使用されている。 これは,非 品質シリコン(a-Si)に比べて移動度が2桁 程度高 いため,TFTの スイッチング速度の向上が期待でき,TFT 制御用の周辺回路を基板に一体化できることに起因する。液 品ディスプレイの基板には,安 価なガラスが用いられている ため,ガ ラスが溶けない4000C程 度の低温で大面積に多結品 シリコン薄膜を形成することが必要である。現在,低 温形成 可能な方法 としてレーザーアニール法やプラズマ気相堆積法 (CVD)が 注 目されている。レーザーアニール法では,良 質 の多結品シリコンが得られているが大面積化において幾つか の課題がある。た とえば,複 数回のプロセスが必要であり, コストが高いなどが挙げられるが,す でに量産プロセス技術 として使用されている。 これに対 してプラズマCVD法 は, 大面積に均一な膜を一回のプロセスで形成することが可能で あるため,将 来の技術 として有望である。しかしながら,プ ラズマCVD法 で形成 した多結品シリコン薄膜は,粒 径が小 さく,結 晶配向性がランダム,非 品質シリコン層が初期成長 段階で形成 されるといった問題が存在 し,実 用的なTFTへ の応用には至つていない。 プラズマCVDを 用いた多結品シリコン薄膜形成には,一 般に水素で高希釈したシランガスを用いた高密度プラズマが 用いられている。 これまでに,電 子サイクロ トロンプラズマ, 誘導結合型プラズマ,表 面波プラズマなどが提案され,90% 以上の結晶化率の多結品シリコン薄膜の形成を400.C程 度の 低温で大面積に渡つて実現できることが報告されている。し かしながら,結 品配向性の精密な制御技術は実現されていな い。 絶縁性基板上へ多結品シリコン薄膜を搭載したデバイスに おいて,結 品配向性の制御はデバイス性能 と密接に関係して おり,簡 単な操作で配向性を制御する技術の構築が強 く望ま れている。 本稿では,筆 者らが取 り組んでいるパルス変調プラズマを 用いた配向性多結晶シリコン薄膜形成技術の研究について紹 介する。

Formation of Preferentially Oriented Polycrystalline Silicon Thin Films Employing Pulse-Modulated Plasma PE CVD