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1.1開 発の背景,ね らい 携帯電話をはじめIT技 術に関連した電子デバイスを用いた機 器は,さ らなる小型化,高 速化,大 容量化に向けて開発,競 争が 激化している。これに関連した実装技術の状況は,以 下の主な流 れと概観している。 1.1.1高 密度化(小型化),高 速化 パッケージを例に取ると,現 在BGA(ボ ールグリッドアレイ), CSP(チ ップスケールパッケージ),FC(フ リップチップ)な どの チップレベルの二次元実装が主流となりつつあり,チ ップを積層 する三次元実装 も徐々に開発されてきている。さらに,チ ップの 薄化,バ ンプの微細化,ピ ッチの狭化にともない,実 装 にも数 10μmの 微細基板およびパターンを扱う技術が要求される。 しか しながら,多 くの実装技術があるもののすべてに対応可能な万能 な技術はなく,デ バイス,実 装形態に対応させて,各 種の接合材 料や方法が試行錯誤のうえ選択されているのが現状である。チッ プを積層する三次元実装でも,チ ップに形成された電極間を接続 する方法として,は んだ接合,超 音波接合,圧 接フィルムあるい は圧接ペーストを用いた接合など,各 種接合方法が検討されてい る1)。また,真 空中で表面を活性化,常 温で接合を可能にする技 術開発も行われている2)・3)。 1.1.2環 境対応 現在,Pbフ リー化に向けた技術開発,評 価が産官学 とも盛ん に行われており,Pbフ リーの製品 も市場に出始めている。また, フラックスに対しては,欧 州で動 きが盛んな揮発性有機化合物 (VOC)フ リーの動きも盛んになるものと予想される。表面処理 によるフラックスフリーの技術 としては,真 空プラズマを用いた フリップチップ(FC)接 合技術 も試みられている4)~9)。 ところで,我 々は従来から実装分野に限定することなく大気圧 下で発生させた放電を用いた濡れ性制御,密 着性の改善などの表 面処理技術に取組んできた。実装分野におけるはんだの濡れ性改 善もそのひとつであるが,技 術開発を行っていく中で,被 接合材 料を溶かさない固相状態の接合でも,ハ ロゲン系ガスを用いた表 面処理を行うことにより未処理よりも低温で接合可能となること を見い出し,基 礎技術開発に取 り組んできたlo)。この技術の実装 分野への展開を意識し,ま ず最初に,は んだなどで一般的に用い られるSn系 材料を中心に開発を進めた。本技術開発のねらいは, 主に現実装技術に対して次のような付加価値のつけられる技術を 提供することにある。 (1)デ バイスの高密度化 ・高速化に対 して,実 装時の接合温度の 低温化,低 荷重化などにより低エネルギー,低 ストレスなど, 被接合材に対して負荷を低減する接合技術。 (2)環 境 に対 して,Pbフ リー,VOCフ リー(フ ラックス フ リー)を実現するための表面処理技術。 本稿では,フ ッ化処理および接合の基礎技術からさらにフッ化 処理の量産技術まで,こ れまでの開発を概説する。 1.2本 技術の特徴について 被接合材料に対してハロゲン化表面処理を施した後,接 合を行 う技術である。本技術開発では,少 な くとも―・方の金属表面に フッ素系ガスを用いたフッ化処理によりフッ素を導入,被 接合金 属同士を密着,界 面に熱エネルギーなどを加えることにより比較 的低エネルギーで固相拡散接合を達成する。すなわち,フ ッ化処 理を用いた接合技術において,フ ッ化処理は,表 面 に導入した フッ素により被接合金属同士の拡散を促進する効果をもたらして いるものと考えている。また,生 産性を考えた場合,大 気圧近傍 下での表面処理および接合であり,接 合工程との整合をとりやす く,量 産性に適している。

Bonding Technology of Solild State Based on Gas-Phase Fluorination