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1.1特 長 液相析 出(LiquidPhaseDeposition,以 後LPD と略 す)法 とは,二 酸化ケ イ素が過飽和状態 となったケ イフ ッ化水素酸溶 液に基材を浸せ きす るだ けで,基 材表 面上 に均一 でち密 な二酸化 ケイ素膜 を形成す る方法 であ る1)。LPD法,も しくはこの成膜 法 に よ る二 酸化 ケ イ 素膜 の特徴 を,以 下に示す。 1 室温程度 の温度 で形成可能 で あ るに も拘 わ らず,ち 密 な膜 が得 られ ること。 2 成膜後の熱処理 は必要 と しない こと。 3 液相での成膜 につ き,基 板表 面 の形状 に依 存 せず, 均一 な膜形成 が可 能であ ること。 4 表面 にOH基 を有す る基板上 にのみ形成 す ること。 5 成膜速度 は~100nm/hと 小 さい こと。 ーLPD法 によ る二酸 化ケイ素膜 は,STN液 晶 デ ィスプ レイ向けガ ラス基板 か らの アル カ リ溶出防止膜 と してす でに工業 的に生産 され てい る2)ほ か,上 記 の特 徴 を い か して様 々な応用 が考え られてい る。 またLPD法 で は, 無機膜 中に有機物 を ドー プす るいわゆ るハ イブ リッ ト化 技術3)や,二 酸 化 ケ イ素 膜 以外 の金 属酸 化膜 の形 成4) も実現 されてお り,さ らな る応用が期待 されて いる。本 稿で は,こ の うちLPD法 によ る二酸化 ケイ素膜 の電 子 材料へ の応用 に話題 を絞 って解 説す る。 1.2LIPD法 の原理 LPD法 の処理液 とは,ケ イ フッ化 水素 酸 に対 して 二 酸化 ケイ素 が飽和溶解 した状態 であ る溶液を さす。 ここ で,こ の処理 液では(1)式 で表 わ され るよ うな平衡 反 応 H2SiF6+2H2O ± 6HF+Si02 (1) が生 じている と考 え られ,こ の平衡 を右方 向に シフ トさ せる ことによ って,す なわち二 酸化ケイ素が過 飽和状態 となる ことによ り,処 理液 内に浸 せ きされた基材表 面上 に二酸化 ケイ素膜 を析 出 させ るものであ る。処 理液の平 衡反応 を シフ トさせ る方法 と して は,ホ ウ酸1)や 金 属 A15)な どを添加 す る,水 を添加 す る,処 理 液 の温 度 を 変化 させる6)(昇温 する)な どの手段 が あ る。 ここで, 処理液 に対 してホ ウ酸や金属A1を 添加 する と,処 理 液 中において 2 式 や(3)式 で表 わ され るよ うな これ ら添加 H3B03 +4HF BF4-+H30++2H2O (2) Al+6HF ± H3A1F6 +3/2 H2(3) 物 とHFと の反応 が生 じて(1)式 を右 方 向 に シフ トさせ る作用 を もた らす。 また,水 を添加 した場合 も同様 の原 理 で,や は り平衡反応 の シフ トを導 く。一方,ケ イ フッ 化水素酸溶液 に生 じる平衡反応 は温度 によ って も影響 を 受 け,高 温 になるほど右方法 に シフ トする性質 を もつ。 よ って,極 力低温 で二酸化 ケイ素 の飽和状態 を作製 し, その液 を昇温 する ことによ って も二酸化 ケイ素膜 の形成 が可能 となる。 1.3成 膜方法 LPD成 膜装置 の概略 を図1に 示 す。 本 装 置 は大 き く わけて処理槽,循 環 ろ過設備,保 温設備か ら構成 される。 ここで,LPD法 ではOH基 を有す る基板 表面 上 で二酸 化 ケイ素膜 の成長が生 じるが,処 理液 中において も二酸 化 ケイ素か らなる微粒子 が発生す るので,こ れを除去 す *日本板硝子(株) 技術研究所 (〒664兵 庫県伊丹市鴻池字街道下 1番) Technical Res. Lab., Nippon Sheet Glass Co., Ltd. (1, Kaidoshita, Konoike, Itami-shi, Hyogo 664)

Preparation of Thin-Films by Wet Method-Their Structure and Properties. SiO2 Film Deposited by Liquid Phase Deposition Method for Electronic Devices.