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2011年東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波は,陸上 だけでなく海底にも大きな影響をもたらした.海溝付近に おける大きな地形変化については,すでに各方面からの報 告が出されている(Fujiwara et al., 2011; Lay et al., 2011; Kodaira et al., 2012; Kawamura et al., 2012; Kanamatsu et al., 2013など).2011年の津波の海底面での摩擦速度の計算か らは,沿岸 98 km,水深 450mまでの細粒堆積物が移動可 能であったことが示唆され(Sugawara and Goto, 2012),実際 に,この地震・津波によって多くの地点においてタービダ イトが堆積したことも確認された(池原ほか,2012; Arai et al., 2013). 巨大地震時における海底斜面崩壊による混濁流の発生と タービダイトの堆積については,過去に報告がある(Heezen and Ewing, 1952; Syvitski and Schafer, 1996; 下川・池原,2002 など).地震発生時の地震動や地殻変動は海底斜面の滑 落・滑動の原因となり,また揺れによる間隙水圧の上昇は 地層の液状化や流動化をまねくことで,海底斜面の崩壊が 引き起こされる(Syvitski and Schafer, 1996; 池原,2001). そして崩壊した堆積物は混濁流となって流下すると考えら れる(Hampton, 1972).一方,地震に伴って発生する津波 も混濁流を発生させる原因となりうる.津波は浅海域の未 固結堆積物を巻き上げて再懸濁させるとともに,遡上した 陸上でも粒子を取り込み,その後,戻り流れに伴う密度流 となってそれらの粒子を深海へ輸送すると予想される(池 原・宇佐見,2007; Sugawara et al., 2009; 後藤・箕浦,2012). 津波によって海底に堆積したと考えられるイベント堆積物 については,地震起源以外の津波を含めて過去に研究例が ある(Cita et al., 1996; Shiki and Yamazaki, 1996; Bondevik et al., 1997; 松本・増田,2004; 池原・宇佐見,2007; Feldens et al., 2009; Sugawara et al., 2009; Sakuna et al., 2012).しかし, 地震・津波による混濁流の発生および輸送機構に関して, 地震直後の実際の堆積物から検証を試みた例は限られてい る.深海底タービダイトは,その少なくとも一部が地震に より形成されたことが判明しており,過去の地震履歴の解 析において世界各地のさまざまな海域で重要な役割を果た してきた(平・村上,1984; Kastens, 1984; Fujioka et al., 1991; Goldfinger et al., 2003; 岩井ほか,2004; 池原ほか,2004な ど).その精度を向上させるためにも,地震直後の深海底 タービダイトの堆積状況の実例を積み重ねる必要がある. タービダイト中に含まれる底生有孔虫群集解析は,粒子 供給源を推定する方法としてこれまでの研究で用いられて きた(Ujiié et al., 1997; Noda et al., 2004; 池原・宇佐見,2007; Ito, 2008). 底生有孔虫群集は,一般にその生息域が水塊に 対応した深度分布を示すことが知られており(Matoba, 堆積学研究 第 73巻 第 1号 37-43(2014) Journal of the Sedimentological Society of Japan Vol. 73, No. 1, p. 37-43 (2014) 37

taisekigaku kenkyū/taisekigaku kenkyuu

Provenance of grains in submarine event deposits inferred from benthic foraminiferal assemblages: Examples of deposits formed by the 2011 Tohoku earthquake and tsunami