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本論では静岡県の掛川層群を対象に,反転タービダイト を利用して堆積盆のおよその地形変化の復元を試みる. タービダイトの堆積は地形の変化に影響される(例えば, Hiscott and Pickering, 1984; Kneller et al., 1991).このことを 利用し,タービダイトの特徴の変化から堆積盆の変遷を復 元した例がある.Haughton(2001)はスペイン南東のソル バス堆積盆において反転タービダイト(reflected あるい は contained turbidite)を見いだし,タービダイトの泥層部 が最も厚くなる地点を堆積盆の最深部の認定基準とし,ソ ルバス盆地の変遷史を具体的に示した.また,Pantin and Leeder(1987),Edwards et al.(1994),Alexander and Morris (1994),Morris and Alexander(2003),などによる実験的研 究から,混濁流の反転や進行方向の変化が起こる斜面の麓 付近で流れがよどみ,砂質堆積物が急速に堆積し,周囲よ りも厚い層ができることが示されている.このことを地質 記録に適用すれば,混濁流の反転などを引き起こした地形 的高まりの麓のおよその位置を推定することができる. 酒井(2000)は掛川層群から反転タービダイトを認定し, 火山灰層を鍵層として対比したタービダイトの特徴を示し た.さらに古流向の変化や小規模なスランプ褶曲の傾きの 方向から掛川層群中部の上組火山灰層が堆積した時の古地 形を復元し,流れの挙動と地形の関係を議論した.しかし, そこで示された例はわずか 1層準に限られる.泥層が最も 厚くなる堆積盆の中心と混濁流の反射を引き起こす沖側斜 面の位置を複数の層準で特定し,その位置の時間変化が明 らかになれば,堆積盆の大きさの変遷,沈降域の変遷など を復元することができる.ここでは泥層の層厚(タービダ イト泥層および半遠洋性泥層)の変化から堆積盆の中心を 推定する方法に加えて,砂層の層厚の変化から混濁流の反 転を引き起こした斜面の麓の位置を 2層準で推定し,その 位置の変化をもたらした原因を議論する.

Basin evolution reconstructed from reflected turbidite: an example from the Plio-Pleistocene Kakegawa Group, Western Shizuoka, Japan