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ここ15年の間に、N型糖鎖の付加過程にはオリゴマンノース型のオリゴ糖の遊離を伴う、との報告がかなりなされてきた。この遊離物質は、オリゴ糖リン酸や、還元末端に一残基のGlcNAc(OS-Gn1)あるいは二残基のGlcNAc(OS-Gn2)を持つ中性オリゴ糖である。オリゴ糖リン酸は、特異的なピロホスファターゼの作用により細胞質側のグルコースを持たないオリゴ糖-PP-Dol、主にMan5GlcNAc2-PP-Dol、から生じることが示された。主産物であるMan5GlcNAc2-Pは、細胞質画分に留まり、まだ知られていない酵素によりさらにMan5GlcNAc1にまで分解される。これに対して、アクセプターとなるタンパク質が不足している時に、オリゴ糖-PP-Dolの加水分解により (おそらく水分子に対する転移反応として) OS-Gn2は、粗面小胞体 (ER) 内腔で生じる。OS-Gn2は、さらにα-グルコシダーゼと粗面ERα-マンノシダーゼによる刈込みを受け、(主にMan8GlcNAc2として)細胞質に運ばれる。このMan8GlcNAc2は、さらに細胞質の中性キトビアーゼとそれに続く細胞質α-マンノシダーゼの作用により、単一分子Man5GlcNAc1:Manα1→2Manα1→2Manα1→3(Manα1→6)Manβ1→4GlcNAcにまで分解される。さらに、OS-Gn1は二つの起源から生じ得る。一つは、上述したように細胞質で起こるOS-Gn2から中性キトビアーゼの分解によるもの、もう一つは、この総説でその可能性を論じるが、新しく合成された糖タンパク質の分解によって生じるものである。最初は取るに足りない現象と考えられていたが、これらの結果から、細胞内でのオリゴマンノース糖の輸送概念、ドリコールサイクルの制御やいわゆる糖タンパク質の品質管理などもっと基本的な現象に係わっているように思えるようになった。この総説で、N型糖鎖の付加過程で生じる遊離オリゴマンノースの起源、細胞内輸送、推定される役割について斬新な考えを書いてみたい。

Free Oligomannosides Produced during the N-Glycosylation Process: Origin, Intracellular Trafficking and Putative Roles.