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当帰四逆湯証および当帰四逆加呉茱萸生姜湯証に 関連する特徴的な腹候に鼠径部の圧痛がある。これ は大塚敬節の発見によるものであり,筆者は自著 『症例から学ぶ和漢診療学』にこれを記したところ である。しかし,意外なことに日本東洋医学会から 刊行されている『入門漢方医学』および『専門医の ための漢方医学テキスト』にはこれに関する記述が ない。 また,このたび調査した範囲では大塚敬節自身は 「鼠径部圧痛」という用語は用いておらず,その門 弟達がこれを明記していることが明らかになった。 本稿ではこの「鼠径部圧痛」という腹部所見に注 目し,本方証との関連を臨床的に検討した結果を記 すとともに,文献調査の結果を報告する。 1.当帰四逆加呉茱萸生姜湯証について 当帰四逆湯および当帰四逆加呉茱萸生姜湯の使用 目標(証)は山田光胤著『漢方処方応用の実際』の 記述が優れており,筆者はこれを参考にして日常臨 床を行っているので,以下にこれを引用する。 「手足が冷えて,腹が張って痛んだり,あるいは 腹鳴して下痢したり,あるいは腰痛,あるいは頭痛, あるいは帯下,あるいは月経不順などがあるもの。 脈は細くて弱く,触れにくいものが多く,腹部は軟 弱で緊張力がなく,あるいはガスがたまって虚満を 呈し,あるいは表面のみが緊張して腹直筋が拘攣す る。」 そして,これに呉茱萸と生姜を加味した,当帰四 当帰四逆加呉茱萸生姜湯証における 鼠径部の抵抗・圧痛に関する一考察

nihon tōyō igaku zasshi/nihon touyou igaku zasshi

&lt;b&gt;On Inguinal Area Pain with Muscle Contraction as a Sign Indicating Tokishigyakukagoshuyushokyoto &lt;/b&gt;&lt;i&gt;&lt;b&gt;sho&lt;/b&gt;&lt;/i&gt;