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漢方薬による肝障害の頻度や臨床像などを探るに は,その診断を正確に行うことが重要であるが,薬 物の副作用の診断は決して容易ではない。診断の根 拠として最も信頼性が高い再投与試験は,現在では 禁忌であるとの意見が強いが,それにかわる信頼性 の高い検査法は確立されていない。 現在日本で使用されている DDWJ2004ワーク ショップ薬物性肝障害診断基準(以下 DDWJ2004 診断基準)は,International Consensus Meeting診断 基準(以下 ICM診断基準)を改変し DLSTなどの 項目を追加したものであるが,はたして ICM診断 基準よりも感度や特異度が改善しているのか不明で ある。 本論文では,はじめに漢方薬による肝障害の診断 をめぐる問題について整理し,次にその頻度や臨床 像などについて概説する。 漢方薬に対するDLST偽陽性について 漢方薬に対する DLSTが偽陽性になりやすいこと は,広く知られてきている。漢方薬服用経験がない 初診患者において,初診の時点で当帰や黄 に対す る DLSTがほとんどの例で偽陽性になったこと, 他の原因による肝障害の症例でも漢方薬に対する DLSTが偽陽性となったことからも明らかである。 「DLST陽性」を根拠にして「漢方薬による肝障害 である」と診断することは誤りである。 著者は2003年 DDWJワークショップ「薬物性肝 障害の動向と新しい診断基準,治療法の確立」での 漢方薬による肝障害

<b>Liver Injury Related to Kampo Medicine:Diagnosis, Incidence, and Clinical Features</b>