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腸結核は病状が進行して狭窄による腸閉塞は起こす ことはあっても穿孔したり瘻孔を形成することは極め て稀であるとされている .インフリキシマブ(レミケ ード )の投与は結核発症の有名な危険因子であり,今 回われわれはインフリキシマブの投与中に腸結核によ る回腸直腸瘻を発症し,それに対し手術を施行した症 例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症 例 患者:55歳,女性. 主訴:全身倦怠感. 既往歴:子宮筋腫に対し単純子宮全摘術. 服薬歴:NSAIDs,プレドニゾロン,メトトレキサー ト,インフリキシマブ(2年間,8週に1度の計19回 投与受けていた) 家族歴:結核感染者なし. 現病歴:4年前に関節リウマチと診断され,2年前 からインフリキシマブの投与を受けていた.今回徐々 に増悪する全身倦怠感の訴えがあり採血検査を行った ところ小球性貧血が認められ内科紹介となった. 臨床経過: 第1病日:全身倦怠感を主訴に来院し,採血検査で 貧血が認められ,腹部エコー検査で限局した回腸の壁 肥厚を認めた.明らかな呼吸器症状や消化器症状は認 めなかった. 第6病日:下部消化管内視鏡検査の生検結果と胸部 CT検査(Fig.1)で腸結核,粟粒結核の診断となった. 第7病日:結核指定病院に転院し薬物結核治療が開 始され,この頃から軽度の右下腹部痛と1日5回前後 の水様下痢を認めるようになった. 第30病日:結核指定病院を退院となった. 第37病日:腹痛が増強したため来院し,回腸直腸瘻 の診断となり手術目的のため入院となった. 下部消化管内視鏡検査所見(第6病日):回腸末端に 粘膜の発赤と潰瘍を認めた.大腸には明らかな異常は 認めなかった(Fig.2). 腹部 CT検査所見(第37病日):回腸末端に著明な 壁肥厚を認めた(Fig.3a,b,c,d).直腸内に回腸と 同様の水様便を認め(Fig.3d),回腸と直腸S状部の瘻 孔形成が疑われた(Fig.3c).

A case of ileorectal fistula due to intestinal tuberculosis and miliary tuberculosis caused by treatment with infliximab