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内ヘルニアは比較的稀な疾患で,なかでも傍下行結 腸窩ヘルニアの報告例は極めて少ない.今回われわれ は,本邦3例目の報告と考えられる傍下行結腸窩ヘル ニアの1例を経験したので,文献的考察を加え報告す る. 症 例 患者:80歳,女性. 主訴:腹痛,嘔吐. 既往歴:認知症,20年前右尿管結石にて手術. 現病歴:腹痛,嘔吐を主訴に近医を受診した.腹満 著明であったため,イレウスを疑い,経鼻胃管を挿入 し,入院となった.翌日も腹満改善しないため,当院 に転送となった.腹部単純X腺検査および腹部単純 CT検査にて小腸広範囲の拡張像と下行結腸を内側に 偏位させる小腸の集簇像,右腰三角部にヘルニアをみ とめた.腰三角部ヘルニア内容は上行結腸であったが, 狭窄所見はなく,内ヘルニアによるイレウスと診断し た.腹水はみとめなかった.即,イレウス管を挿入し, 入院となった. 入院時現症:体重54kg,血圧154/95mmHg,脈拍82 回╱分・整,腹部全体に緊満していたが,腹膜刺激症 状はなかった.右側背部に手術痕より脱出した腸管を 触知し,容易に還納できた. 入院時検査所見:WBC5,600/μ1,CRP8.72mg/dl と高値で,CPK197U/lの軽度上昇を認めた.その他異 常所見はなかった. 腹部単純X線検査:腹部全体に拡張した小腸ガス をみとめた.大腸の拡張所見はなかった. 腹部単純造影 CT検査:小腸の拡張像を認め,下行 結腸は内側に偏位し,その外側の左傍結腸溝に囊状に 包まれた小腸の集簇像を認めた.後腹膜に位置する小 腸の腸間膜には,うっ血像がみられ,不明瞭な腸管壁 の濃染像を認めた.さらに右腰三角部にヘルニアがみ られ,上行結腸の脱出あるも,拡張像はなかった(図 1 a, b). イレウス管造影検査:イレウス管は閉塞部には到達 できず,造影から閉塞部位を同定することはできなか った(図 2). 入院後経過:イレウス管からは多量の茶色排液認め るも,腹部単純X線検査上,小腸拡張像は改善せず, 手術を考慮し,入院翌々日に,緊急手術を施行した.

A CASE REPORT OF INTERNAL HERNIA IN PARACOLIC GUTTER OF THE DESCENDING COLON