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サツマイモ(Ipomoea batatas (L.) Lam.)は、日本の 暖地における夏季の基幹畑作物の一つである。日本のサ ツマイモ栽培では、主要品種がサツマイモネコブセンチュ ウ(Meloidogyne incognita (Kofoid and White))に対 して感受性であり、その防除は殺線虫剤処理に大きく依 存している(水久保,2015)。一方、サツマイモネコブセ ンチュウに対しては、抵抗性品種の育成がこれまで行わ れてきており(樽本,1992)、抵抗性品種を栽培すること で線虫密度が抑制され(田渕・坂本,1983)、後作の被 害が抑制された事例も報告されている(福永・岩堀, 2002;Suzuki et al.,2012)。しかし、育成段階で抵抗 性強とされる品種の中には、被害は受けないものの、そ の栽培により線虫が増殖する、いわゆる耐性の品種が含 まれる。このような品種を線虫が高密度で発生した条件 で栽培した場合、被害は抑制できるものの、線虫を増殖 させる危険性が高い(佐野ら,2002)。また、サツマイモ ネコブセンチュウには、サツマイモ品種への寄生性程度 が異なり、抵抗性品種に寄生して増殖や被害をもたらす 複数のレースが存在する(佐野ら,2002)ので、抵抗性 強とされる品種であっても、必ずしも全てのレースに線虫 密度の抑制効果があるわけではない。そのため、生産現 場において密度を抑制し、殺線虫剤への依存を解消する ためには、対象となる地域のレースに適合した抵抗性品 種の育成と、その線虫抑制効果の検証が必要である。 これまで、日本国内ではサツマイモネコブセンチュウは 9レースに分けられ、南九州地域では SP2 が主要レース であることが明らかになっている(Sano and Iwahori, 2005)。また、各レースの既存品種に対する寄生性程度 の差異についても整理されつつある(佐野ら,2002;田 淵ら,2015)。そこで、南九州地域での線虫防除への利 用を念頭に、近年普及が進みつつある抵抗性強の品種を、 線虫が高密度で発生した圃場で栽培した場合の被害状 況、栽培後の線虫密度抑制効果および後作の被害状況 について検討した。 1 〒885-0091 宮崎県都城市横市町6651-2 農研機構九州沖縄農業研究 センター畑作研究領域(Division of Upland Farming Research, Kyushu Okinawa Agricultural Research Center (KARC), NARO, 6651-2 Yokoichi-cho, Miyakonojo, Miyazaki 885-0091, Japan) 2 〒861-1192 熊本県合志市須屋2421 農研機構九州沖縄農業研究センタ ー生産環境研究領域(Division of Agro-Environment Research, KARC/NARO, 2421 Suya, Koshi, Kumamoto 861-1192, Japan) 3 現所属:〒520-2194 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1-5 龍谷大学農学 部(Present address: Ryukoku University, 1-5 Yokotani, Seta Oe-cho, Otsu, Shiga 520-2194, Japan) 4 現所属:〒891-3102 鹿児島県西之表市安納1742-1 農研機構九州沖縄 農業研究センター種子島研究拠点(Present address: Tanegashima Research Station, KARC/NARO, 1742-1 Annou, Nishinoomote, Kagoshima 891-3102, Japan) *責任著者 (Corresponding author), e-mail: suzukita@affrc.go.jp [ 原著論文 ]

Suppression effects of nematode population density by the cropping of newly bred southern root-knot nematode resistant sweetpotato cultivars