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被覆植物を畦畔法面等の斜面に植栽するときの株間の雑草発生を防止 し、土壌流亡を抑 えるため、農林業から産出される有機物をマルチとして利用 した ときの被覆植物の生育、 雑草の発生等について検討 した。 [材料および方法] 供試草種は、センチ ピー ドグラス、宿根バーベナ、ヒメイワダレソウ、の3草 種であり、 除草剤処理 した広島県福山市の近中四農研の圃場法面(東 向き、傾斜300)に2002年5 月8日 にセル苗を25cm間 隔に移植 した。試験処理はマルチ6種 類(イ ナワラ、モ ミ殻、 ヒノキ樹皮、 チ ップ材、 防草シー ト、無マルチ)と 草種を組み合わせた。1区 は1m×1 mで、2反 復で実施 した。防草シー ト区は、十字に切れ 目を入れて苗を移植 した。また、 広島県上下町の水田畦畔(北 西向き、傾斜320)に おいて、5草 種(図3の とお り)を 用い、マルチ処理2種 類(ヒ ハキ樹皮、 防草シー ト)を 組み合わせて試験を行つた。1区 は2m×1mで、2003年5月14日、29日 にセル苗を25cm間 隔に移植 した。8、10月 に 大きく生長 した雑草のみを除去した。 [結果および考察] 被覆植物の被度は、無マルチ区では1年 目の7月 に低下 し、除草後高まったが10月 の 時点でセンチ ピー ドグラス、宿根バーベナはマルチ区よりも低い値であつた。無マルチ区 は2年 目もセンチピー ドグラスの被度は低 く推移 した。マルチ処理間ではセンチピー ドグ ラスはイナワラ、チ ップ材、 ヒメイ ワダ レソウはチップ材がやや低い傾向が見られた(図 1)。 雑草の被度は、1年 目の7月 まではセ ンチ ピー ドグラスはもみ殻区、他草種はチッ プ材で高かつたが、2年 目は3草 種 ともイナ ワラ、チップ材区が高い傾向が見られた(図 2)。 チップ材、 もみ殻は斜面では下方に流れ落ち、移植直後は苗が覆われて生育が抑制 された部分が見られたが、 ヒノキ樹皮(破 砕処理 した)は、 斜面でも移動 しなかった。 1年 目の雑草本数は、防草シー ト区は植え穴から発生 した雑草がわずかに見られたもの の、非常に少なく雑草乾物重もわずかであつた。有機物マルチ区では無マルチ区よりも雑 草発生本数、雑草乾物重 とも少ない傾向が見 られ、 とくにヒノキ樹皮区が最 も少なかつた (表1)。 マルチ処理による被覆植物および雑草の生育への影響を明らかにするため、マ ルチ下の積算 日射量の相対値 を簡易積算 日射計フイルムを用いて測定 したところ、マルチ 区では4.8-5.9%と 低 く、 日射の遮蔽が雑草の発生を抑制 した と推察 された。 また、マル チ下の表土(o-6cm)の 含水率をFDR土 壌水分センサーを用いて測定 したところ、被覆植 物無植栽に比べて2.3-4.3%、 無マルチに比べて1.8-3.8%マ ルチ区では高かつた(表2)。 現地水田畦畔においてヒノキ樹皮および防草シー トを敷き、被覆植物を移植 した結果、 ヒメイワダレソウ、宿根バーベナ、 ツルマンネ ングサは防草シー トよりもヒハキ樹皮のほ うが、被度が高く推移 し、ポテインテイラ、ク リーピングタイムは防草シー トの方が高く 推移 したが、いずれの区も7-9月 には全面を被覆 した。雑草の被度はポテインテイラ、 ツルマンネングサ区のヒノキ樹皮区でやや高まつたが、発生本数は少なかった(図3)。 以上の結果から、畦畔法面に被覆植物を植栽す るときに有機物マルチは雑草の発生を抑 制 し、雑草による被覆植物の生育阻害を防止す る効果があること、斜面の移動性から供試 有機物のなかではヒノキ樹皮が利用 しやすい と考えられた。

Effect of mulching with organic matters on growth of ground cover plants in levee slope