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山間部の道路周辺には斜面崩壊や地すべり,落石など の土砂災害発生の危険のある斜面が多い。道路管理者は それらの危険斜面の位置と危険度を把握する必要がある。 しかし道路延長が長く,その周辺の危険斜面数も膨大で あり,その全数を均一な精度で調査することは時間と費 用がかかり,容易ではない。国土交通省の直轄国道など では昭和43年の一般国道41号飛騨川バス転落事故を契機 に,道路沿いの落石,斜面崩壊や土石流などの危険性の ある斜面,渓流を抽出するために,およそ5年毎に道路 防災点検を実施している。平成2年度の道路防災点検 からは安定度調査表が導入され,定量的に斜面や渓流の 安定度を評価するようになった。しかしながら安定度評 価に必要な斜面上の微地形は,限られた時間での現地踏 査に頼っているため,対象斜面上の斜面崩壊等に関連す る微地形をすべて抽出しているとは言い難く,その意味 で安定度評価の精度に限界がある。そして平成8年度の 道路防災総点検では,何らかの対策を施す必要のある 斜面を対象に,危険要因や安定度を評価する観察のポイ ントを示した「防災カルテ」を作成して,それに基づく 定期的な点検がなされている。しかしこれも対象斜面上 をくまなく踏査して作成するわけではなく,すべての斜 面崩壊に関連する微地形を抽出しているとは言い難い。 近年道路防災のみならず河川事業や砂防事業などで, 広範囲を迅速に計測できる航空レーザ測量が実施される ようになっている。中山間地を中心に国道や河川を中心 にかなりの範囲が計測され,事業の調査,計画,設計に 活用されている。航空レーザ測量(Laser Imaging Detection and Ranging)のデータ(以降LiDARデータと略称) を用いると,道路沿い斜面の微地形を把握し,それを元 に土砂災害危険斜面を迅速に把握することができるので はないかと期待されている。実際に航空レーザ計測によ り山腹斜面上の微地形を計測した事例も報告されている が,大部分は地すべり地形の抽出事例であるか,表層 崩壊跡地自体の抽出を行った事例である。それに対し て比較的規模の小さな表層崩壊などの前兆現象となるよ うな段差などの微地形を抽出する試みはほとんどない。 道路防災点検や土砂災害危険箇所の抽出などでは,斜 面の高さや傾斜などの他に,斜面上の遷急線,崖錐,崩 壊跡地やはらみ出しなどが,対象斜面の安定度評価に影 響を与える。道路防災点検では,安定度の低い斜面を防 災カルテにより点検していくが,この際,道路沿いに存 在する広大な斜面上の微地形を,もれなく均一な精度で 抽出する必要がある。このためにLiDARは有効である と考えられる。 本報告は,ある地域の,最近岩盤崩壊の発生した国道 沿いの斜面において,小規模な斜面崩壊などの発生の前 兆であるとも見なせる滑落崖や段差地形などを,LiDAR データを用いた解析により,どれだけ微細なものまで抽 出できるかを検討する。

Application of LiDAR data to detect the micro‐topography related to shallow landslide