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1.完 全世代 の 形成 1971年, Hebertは 培地 上で メヒシバ菌 の完 全世 代 形成 に初め て成功 し,本 菌 をCeratospaeria grisea Hebertと 命 名 し,へ テ ロタ リックであ る ことを証 明 した。 引続 き1973年 にペ ル-産 イ ネ菌 と メヒシバ菌 と の交配成 功例 を報告 した。 そ の後わ が国 で完全世 代形 成 条件,形 成時 の核 の行 動な どの基礎 的研 究が 行われ る と共 に,多 数の イ ネ科植 物か らの分離菌 株 間 の 交 配試験 が精 力的 に 行われ,大 きな研 究 の進 展が み られ た。す なわ ち, 1976年 頃 まで に,シ コク ビエ,オ ヒシ バ,エ ノコ ログサ,ウ ィー ピング ラブグ ラス,ス イ ー トバ ーナル グラスな どか らの分 離菌 には両 交配 型が そ れぞれ 存在 し,相互 に交 配可能 であ る こ と,タ イ ヌビエ な ど16種 の宿 主か らの分 離菌 は いず れか一 方 の交配型 を有す るこ と,シ コク ビエや オ ヒシバ な どのEleusine 属植物 の い もち病 菌が他 のイ ネ科植 物 のい もち病菌 と 最 も広 く交 配可能 で,完 全世 代形成 能が 高 い こと,イ ネ菌 は シコ クビエ,オ ヒシバ 菌 との交配 で容 易 に成 熟 子 の う胞 子を形成 す る こ とな どが,明 らか にこ さ れ た (Katoら1976, Yaegashi・Nishihara 1976, Ueyama ら1977)。 またオ ヒシバ菌 を テス ター とした時,日 本産 イ ネ菌 に2つ の交 配型 があ る こ とが示 された が,日 本産 イ ネ 菌 同志 の交 配 には成功 しなか った(Yaegashi 1977)。 しか しそ の後,加 藤 ・山 口(1979)は シ コク ビエ菌 テ ス タ-を 用 い,世 界各地 か ら採 集 した多数 の イネ菌 の 交 配型 を検定 して,イ ン ドネシア産 イ ネ菌 に両交 配型 があ る ことを 明 らか に し,イ ン ドネ シア産 菌株PO127301と 日本産 菌株 研73-01お よび 象牙海 岸産 菌株CD 141と の交 配で完 全世代 の形成 に成 功 した。 これ はイ ネ菌 相互 の交配 にこ成功 した初 めて の報告 で あ る。 今後 採集地 域,供 試菌 株 数な どを拡大す れば,イ ネ菌 相互 の交配成功 例 がおそ ら く確 実にこ増加 す るで あろ う。 このほ か,ウ ィー ピ ングラブ グラス菌 対 シ コ クビエ 菌 な どの交配可 能 の菌を用 いて,そ れ ぞれ の宿主 に対 す る病原 性の遺伝 子 分析や,薬 剤 耐性 イ ネ菌 と感 性 シ コク ビエ菌な どの交 配で, KSM, IBPな どの薬 剤耐 性 に関 す る遺伝 子分 析な どが進 め られ てい る。 これ らの研 究に よって,わ れ われ はイ ネ科植物 い も ち病菌 間の相 互交雑 性や,病 原 性の遺 伝子 分析 な どに 基づい て,そ れ らの系統 発生学 的類縁 関係,と くに イ ネい もち病菌 の進化,分 化 過程 を明 らか にす る1つ の 有 力な研究手段 と,希 望 を得 た。今後 の発 展 が期待 さ れ る。 なお 自然圃 場条件 下で は まだ い もち病菌 完全世 代 の発 見 の報 告は ない。 未発 見の可 能性 も 少 な く な い。 も し圃場 で完 全世代 形成 がみ られ る とすれ ば,こ の伝 染源,変 異源 と しての役割 を新 し く検討 す る必 要 が あろ う。 いずれ にこしろ今後 の研究 発展 の成否 は,研 究規模 の大 きさに大 き く左右 され るよ うにこも考 え られ る。国際的 規模 の共 同研究 の推進 が切 望 され る。 なお完 全世代 の属名 はCeratospaeriaよ りMagna Portheに 移 された。 イ ネ菌 相互 の交配 で得 られ た有性 生 殖器 官の形 態は メヒシバ 菌相互 で 得 られ た もの と殆 ん ど一 致す るので,イ ネい もち病 菌 もMagnaporthe grisea (Hebert) Barrと 考 え られ る。

Recent Advances in Studies on Rice Blast in Japan