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方向を指示する直感的な身振りとして指差しがある.本 論文では,人が指差しにより指示した目標物をロボットが 特定できるように人の視線を推定することが目的である. 指差しによる視線をロボットが推定するためには,一般的 には人の利き目(以下単に目とする)と人差し指の指先(以 下単に指先とする)から生成される直線方向を利用する. ロボットに目標物が存在する平面(例えば机,床,壁など) に関する事前知識がある場合は,視線を検出した後にロ ボットは指示方向とその平面の交点の位置を探索すること で,目標物を特定できる.目標物を特定できれば,ロボッ トはそれを人に持って行く,捨てる,等の作業を実現でき る.しかしながら,人の指差しを映像で観測してその指示 目標物を特定することは依然として難しい問題である.問 題の一つは人の指差し動作に個人差があることであるが, より本質的な問題は指差し指示の際に人は必ずしも指先を 凝視しない場合があることである.これは目標物への視線 と,上記の目と指先から生成される直線が一致しないこと を意味する.この場合はロボットが仮に人間の目と指先を 両方とも正確に抽出できたとしても,目標物を特定するた めには別の補正が必要となる. そこで筆者らは,指差しから目標物を特定するために視 線の較正法を提案してきた.提案法では,ロボットは 位置が既知の目標物に対して,人の指差しを観測して補正 値を学習することにより視線の較正を行う.本手法による 補正の目標は人物が机上の小物(コップやリモコンなど)を 指差しをした時に,ロボットが目標物を特定できる精度を 簡単な較正で実現することである.提案法は,人の負担を 軽減させるために一点の目標物への指差し指示から学習す ることが特徴である. 本論文は以下のように構成される.2章では従来法とその 課題について述べる.3章では提案法について述べる.4章で 評価実験に関して述べ,5章で本論文のまとめを述べる.

A Calibration Method using One Point for Instructing Robot by Pointing Gestures