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特定ラジオマイクとは,テレビ局のスタジオや舞台,コ ンサートホールなどで業務用途に用いられているワイヤレ スマイクのことである.現在,特定ラジオマイクは770~ 806 MHzの周波数帯で利用されており,周波数変調(FM: Frequency Modulation)によるアナログ方式と,主に位 相変調(PSK: Phase Shift Keying)によるディジタル方式 の2種類が製品化されている.どちらもシングルキャリヤ 方式である.アナログ方式の特長は,音声の遅延がほとん どないことである.これに対してディジタル方式は,圧 縮・伸長処理を行っており,3~5ms程度の遅延があるも のの,音質が良いこと,雑音や干渉に強いこと,アナログ 方式と比較して,より多くのマイクを同時に利用できるな どの特長がある.しかしながら,伝送遅延時間が1msを超 えると音楽などの演奏に与える影響が無視できなくなると いう課題に対し,1msを下回るような低遅延型ディジタル 方式のラジオマイクはこれまで実在せず,検討された例も なかった. 一方,平成16年には,総務省から「周波数再編アクショ ンプラン」が公表され,電波の有効利用という観点から周 波数再編の検討が進められている.平成23年9月に公表さ れた周波数再編アクションプランの見直しにより,特定ラ ジオマイクは地上テレビジョン放送用周波数帯のホワイト スペース,または1.2 GHz帯への周波数移行が検討される こととなった.これを受けて技術条件等の検討が行われ, 平成24年4月には情報通信審議会から特定ラジオマイクの 移行先周波数は470~714 MHz,1,240~1,260 MHz(1,252 ~1,253MHzは除く)とする一部答申が行われている. このような状況で,筆者らは移行先の新たな周波数帯にお いて,マイクの音声信号を低遅延,高品質かつ安定した伝送 を実現するため,耐干渉性に優れたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送方式をラジオマイク に適用する伝送方式を世界に先駆けて検討してきた.本稿 では,音声非圧縮のリニアPCM信号を,1msを下回る遅延 で,伝送帯域幅600 kHz以下でワイヤレス伝送できるラジ オマイク用の伝送方式の検討結果と,実験による実証結果 を述べる.

Development of Low-Latency Digital Transmission System for Specified Radio Microphone