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近年,火山の噴火を観察する可視情報は飛躍的に増加 し,火山活動の監視や噴火現象の理解に役立てられてい る.ドローンなどの無人機に搭載したカメラで火口の様 子が捉えられ1),高頻度高解像度化された衛星画像を用 いて,アクセスの難しい場所の火山活動の監視も可能と なった2).また,多くの人々が解像度のよいカメラを搭 載した携帯端末を持ち歩き,噴火の様子を伝える貴重な 映像がインターネット上に公開されている.一方で,火 山の地下で発生する現象は,未だベールに包まれている. 火山噴火の発生や推移を支配する要因を理解し予測する ためには,地下の現象を知ることが重要である. 火山学の多くの論文は,爆発的な噴火中の火山の内部 について,Fiɡ.1 aのようなイメージ図を掲載している. イメージ図は,直接見ることのできない現象に対してそ れぞれの研究者が考えるモデルを可視化する.気泡を含 むマグマがある条件で固体のように破砕され,噴霧流と して火口から噴き出すと考えられている3).破砕面また は破砕波と呼ばれる不連続面は,衝撃波や沸騰波との類 推で考えられてきた4).連続的にマグマが噴出している 場合には,図のようにある一定の深さに形成された破砕 面をマグマが通過して行く定常流れが成立し,火道を満 たした高圧マグマが急減圧を受けた場合には,破砕波と して火道深部に伝播すると考えられている. 著者らは,「火山噴火を解き明かす~室内実験の試み ~」と題して,見えない火山内部の現象をモデル実験で 可視化する試みを本誌 2002 年号にて紹介した5).その 中で,マグマの破砕を模擬する実験6)を紹介した.粘弾 性流体であるマグマの性質を表すために,シリコンパテ を用いた.高圧の管に気泡入りのシリコンパテを封じ込 め,急に減圧すると固体のように割れて飛び出すが, ゆっくり減圧すると流体として膨張することを示した. これは,固体的な破砕で噴霧流を生成する爆発的な噴火 と,溶岩ドームが膨張するような非爆発的な噴火の両方 が,同じ物質の減圧速度の違いだけで発生することを実 証した初めての実験であった.しかし,その実験動画を 見た火山研究者の多くから,「イメージに合わない」と いうコメントを受けた.確かに,その実験では破砕波と 呼べるようなものは実現されていなかった. そもそも,破砕波というのは存在するのだろうか.著 者らは,破砕波の実像を求めて研究を続けて来たが,最 近,Fiɡ.1 bのようなイメージを持つに至った.本稿で は,問題点が明らかとなり未公表のままになってしまっ た2つの実験について2節にやや詳しく記述し,公表済 みの2つの実験を3節に紹介する.

Visualization of Subsurface Magma Fragmentation in Explosive Volcanic Eruption by Analogue Experiments