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宇宙線ミューオンを用いた火山などの内部透視技術 “ミューオグラフィー”は近年著しく進歩しており,さ らなる改良のため現在も活発に議論がなされている.最 近では,このミューオグラフィー技術を応用した,断層 破砕帯(地上隆起部分)中を流れる地下水の可視化1)な どの成果が報告されている. 一方で,ミューオグラフィー技術はその特性上, ミューオン検出器の設置位置よりも上方にある構造物に しか適用することが出来ず,これまでの多くの研究は地 上に隆起した山体などの構造物に対して実施されており, 地下の構造に対してはほぼ使用されてこなかった. 今回,我々はこの技術を地下の構造物,特に地震断層 に対して適用し断層の構造を調査するため,掘削調査な どで使用されたボアホール内に設置する検出器を新たに 開発した.本研究は岐阜県飛騨市神岡町跡津川にある富 山県南部から岐阜県北部にかけて東北東-西南西方向に 分布する跡津川断層帯の一部に存在するボアホールを観 測地として断層の構造調査を行った.跡津川断層帯は現 在も活動を続ける断層であり,これまで複数の先行調査 研究がなされ,断層面はほぼ垂直で,横ずれを伴う断層 であることが知られている.しかし,断層破砕帯近傍の 密度構造を広範囲に調査した例はなく.本研究では跡津 川断層を貫通するボアホールを使用して,断層破砕帯近 傍の密度構造を調査した.

A Method for Probing Structure of Fault Fracture Zone with Cosmic Ray Muons