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デンプンの糊化度および老化度に及ぼす大豆タンパク質の影響を酵素被分解性による糊化度の測定,膨潤度,溶解度の測定, X線回折から検討し,次のことが明らかとなった。(1) 膨潤度,溶解度は分離大豆タンパク添加により馬鈴薯およびサゴデンプンで著しい低下が認められた。(2) 酵素被分解性による糊化度の測定から,デンプンを加熱糊化する際に分離大豆タンパクを添加すると,いずれのデンプンにおいても糊化の遅れが認められた。92.5℃にて加熱を継続することにより対照と近似の糊化度が得られた。(3)デンプンのりの低温保存時の糊化度の測定から,馬鈴薯デンプンは分離大豆タンパク添加により糊化度が大きく低下し,老化しやすくなると考えられた。トウモロコシ,緑豆およびサゴの各デンプンでは分離大豆タンパク添加の影響は僅少であった。(4) 分離大豆タンパクを添加したデンプンのりの低温保存時のX線回折図は対照とは明らかに異った図形を示した。(5) 緑豆デンプンは試料デンプン中もっとも緩慢な糊化過程を示し,またデンプンのりの低温保存時における糊化度の低下が著しく,老化しやすいことを示している。(6) サゴデンプンの糊化度は加熱初期は馬鈴薯デンプンに似た傾向を示すが,緩慢な糊化過程や低温保存時の糊化度は緑豆デンプンに近似の傾向を示した。(7) 緑豆やサゴのデンプンのりは室温または冷蔵保存においても糊化度の低下が大きいことから,デンプンゲルのテクスチャー測定においては,その保存条件を十分考慮することが大切であると思われた。

Effects of addition of soybean protein on gelatinization and retrogradation of starch