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イオ ン注入法 は表面層 内にわず かな不純物 を導入 して 新 しい特性 を もった材料 を作 る技術 として半導体工業界 で はな くてはな らない方法 である.最 近 では,金 属材料 などにもこのイオ ン注入法 を用いる研究 が盛 んであ り, 耐摩耗性,耐 腐食性1~5)などの表面処理 の研究 が行 われ お こなてい る. 表面処理技術 および薄膜 形成技術 としては通常真 空蒸 着法,分 子線蒸着法 などが用い られ てい るが,イ オ ンを 用 いる方法 としてはイオン化 された原子を加速,減 速を して基板上 に付着 させ る イオ ンビーム デ ポ ジ シ ョン6) 法,ク ラスターイオン7)を 加速 し基板 に衝突 させて一度 に多量 の原子 を付着 させ るクラスターイオ ンプ レー ティ ング法,イ オン化 して加速 した希 ガス等で スパ ッタ した 原子 を基板上 に付着 させるイオンビーム ス パ ッタ リ ン グ8)法 等 がある.こ れ の場合,基 板 に衝突す る全部 も し くは一部 の原子 はイオン化 され てお り,各 原子 もし くは イオ ンの もつ運動 エネル ギーは数eVか ら高 々数十eV であ るが,真 空蒸着等 に比べ て一般 にその運動エネル ギ ーは大 きい.し か し原子 が基板 の中に深 く注入 され るこ とはほ とん どない と考 え られ る.こ れ らの方法 は,基 板 が結 晶の場合 にエ ピタキシャル に結晶成長 させ た り,基 板 を他 の物質 で コーティングす るの にかな り成功 をお さ めている.こ れ らの方法 ではコーティング物質が基板か ら剥離す る場合が あ り,基 板に対 する付着性 が問題 とな る.こ れに対 してイオ ン注入法では,イ オ ンを数十 か ら 数百keVに 加速 して基板 に衝突 させ るた め,こ れ ら の イオ ンはほ とん ど基板 の内部 に浸入 し表面 に合金あるい は化合物 層を形成 し,基 板表面 にお ける機械的性質を変 えることが出来る.こ の場合基板 の機械的性質 を変 える には通常は大量 のイオ ンを注入す るこ とが必要 であ り, 短時間 に処理 するためには大電流 のイオン注入装置が必 要である. イオ ンを用いた もう一 つの方法 として,イ オ ンミクシ ング法が ある.こ の方法 では基板上 に他 の物質 を蒸着 し この上 にさらに希 ガスの ようなイオンを数 百keV以 上 で照射 し,蒸 着物質の原子 はこのイオン との衝突 によ り 反跳 し,基 板 中 に浸 入 して,基 板 と蒸着膜 との間 に両者 の混合 した新 しい層が形成 され9),残 余 の蒸着膜 を化学 的方法等 で除去す ることで基板表面上 に新 しい表面層 を 作 るこ とが出来 る.こ の方法ではイオ ンのエネル ギーは 高 くなければ ならないが,イ オ ン電流 はそれほ ど大 きい 必要 はな く,多 量の異種原子を基板 表面近 くに注入す る こ とが 出来 る.し か し注入原子 と基板原子 との混合比 を 一定 に保つ ことは困難 である. 我々 は,以 上 に述べ られた方法 とは別 に,蒸 着 とイオ ン注入 とを同時 に行 って,基 板上 に新 しい表面層 を作 る こ とを試み た10,11).この際イオ ンの原子 あた りのエネル ギーは10~20keVと 通常のイオ ン注入 の場合 よ り低 い が,蒸 着原子 の一部 はイオン衝突 の反跳 によ り,イ オ ン と同様 に基板 に注入 され,基 板 と"新 しい物質"の 間 に 良い付着性が期待 される.こ の報告 ではイオ ンとしては * 昭和57年4月3日 第29回応用物理学関係連合会講演会において講 演 * * 大阪工業技術試験所(大 阪府池田市緑丘) * * * 東京大学教養学部(東 京都目黒区駒場)

Chemical Conversion of Surface and Film Formation Techniques Used Together with Vacuum Deposition and Ion Implantation