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1 .はじめに 2007 年 7 月 16 日に発生した新潟県中越沖地震(JMAマグニチュー ド Mj6.8)1)では、震源域に近い柏崎市や刈羽村で多くの建物、土木 構造物、地盤被害が生じた。この地震では、震源域に近い柏崎刈羽 原子力発電所が大きな地震動を受け、原子炉建屋において設計荷重 以上の地震動を計測するなど2)、社会的にも大きな影響を与えた。 新潟県中越沖地震の地震記録は、震源断層から10 キロ以内の地点 で、4点の地震観測点及び原子力発電所構内での地震波形が記録され ている(図1参照)。観測された地動速度(表1)は、50cm/sから100cm/ s以上とばらつきが大きく、このエリアだけでも不均一な速度分布で あったことを示している。さらに、柏崎平野中心部の波形記録では、 2秒以上の長周期成分が卓越し、地盤の強い非線形性を示す波形も見 られるなど、周期成分も観測波形によって大きく異なっている。こ の地域の表層地盤は表層地質や層厚が激しく変化する複雑な堆積地 盤構造をしており3)、それが地震動の表層地盤増幅に大きな影響を与 えたと考えられる。 我々のグループは、7 月25 日から27 日にかけて、震源域の社寺に おいて被災調査を行い、構造物の被災度と墓石転倒率を調べた。墓 石転倒率や建物被災率から地震動を推定する手法は、多くの既往の 研究成果で提案されている4)-5)。新潟県中越沖地震の震源域は、複雑 な堆積地盤構造、地盤の非線形化と、難しい問題はあるものの、調 査結果からどの程度地震動を表現可能か、既往の研究成果を踏まえ て検討した。本研究では、特に以下の点について報告する。

PGV ESTIMATION FROM DAMAGE OF SHRINES AND TEMPLES FOR THE 2007 NIIGATA-KEN CHUETSU-OKI EARTHQUAKE