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一昨年には東日本大震災が起きたこともあり、省エネルギー・低 炭素社会へ向けた様々な施策が全国的に取り組まれている。最近の 取り組みの一つとして、住宅・建築物に関わる省エネルギー基準の 改正が挙げられる。主な改正点は、これまで建築外皮の断熱性能を 熱損失係数(以下、Q値)を基準としていたが、外皮平均熱貫流率 (U値)を基準に見直したことである。さらに、一次エネルギー使 用量の基準も加えられ、2020年度までに新築住宅・建築物の適合 義務化を目指す。また、札幌市では寒冷地故の膨大なエネルギー使 用実態や海外基準からの遅れを受け、2012年4月より「札幌版次世 代住宅基準」を運用している。新築住宅の熱性能ごとに基準を設 け、建設費に対する補助を与えることで、住宅熱性能の底上げを図 る目的がある。 北方型住宅を代表とした、寒冷地における高断熱・高気密住 宅の室内環境やエネルギー使用実態に関する研究はこれまで数多く 行われている。例えば、立松らは北海道におけるQ値1.3[W/m2]程 度の住宅(95軒)における温熱環境及びエネルギー使用実態を明ら かにした2)。菊田らは札幌市内の北方型住宅(3軒)を対象に、空 気環境を含めた室内環境及び暖房エネルギー使用実態を明らかにし たが、いずれも冬期の暖房期を対象としている。一方、北方型住 宅ではオーバーヒート等の夏期における課題が指摘されている。ま た、北海道の冷房普及率は15.8[%]と全国的に低く注2)、居住者は 窓を開放したり扇風機を動かしたりすることで暑さをしのいでい る。以上の様な特徴を持った寒冷地の夏期における、北方型住宅の 室内温熱環境や快適性を定量的に評価した研究は少ない。 温暖地の住宅における冷房使用実態や窓開放等の住まい方を対象 とした研究は多くあり、その中でも夏期温熱環境・温冷感を“エク セルギー”の概念を用いて分析する動きがある。エクセルギーの概 念を用いることで、環境の外気温度に対する各部位や室内空気にお ける資源性を「温・冷」のエクセルギーに分けて示すことができる 上に、それらの「消費」を定量的に表現することができる。以上の ことはエネルギー保存則の概念だけでは説明することができない。 既往研究より、人体エクセルギー消費と室内環境、さらに建物にお けるエクセルギー評価との関係も明らかとなっているため、一般的 に言われる“省エネルギー”のための具体的な対策が見出されること や、人の温熱感覚と連成した解析が展開できると期待されている。 最近の事例としては、伊澤らの研究、徳永らの研究が挙げられ る。しかし、寒冷地や北方型住宅において同様の解析を行ったもの

EXERGY EVALUATION OF INDOOR ENVIRONMENT OF NORTHERN REGIONAL HOUSES IN SUMMER