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1−1 研究の背景 2010 年頃から IT 関連業界を中心に、公的部門における「ビッグデー タ」の活用が新たなキーワードとして急速に着目され始めている。 米国では、オバマ大統領による「オープンガバメント指令」を受け、 2009 年 1 月より行政機関が管理しているデータの公開が進められて いる。また、2009年10月にはTim O`rileyが提唱した「ガバメント2.0」 によって、行政データを市民が活用する動きとウェブアプリを活用 しながら市民が新たなデータベースを構築をする動きがでている。 我が国においても、米国同様に行政データのオープンソース化だ けでなく、ウェブアプリを開発する団体組織 Code for America をモ デルに設立されたCode for Japanの活動が 2013年 6月よりはじまっ ている。これをうけ、今後都市計画分野でも、行政データだけでなく、 市民参加によって蓄積されたデータを活用して、コミュニティデザ インやまちづくりに展開することが期待されている 。 しかし、シビック・テクノロジーのポテンシャルを充分に活用す るには、まだ多くの課題が残されている。例えば、シビック・テク ノロジーのイノベーター Jennifer Phalka や Frank Hebbert らは、 アプリを開発する際における参画の問題、アプリより収集したデー タからコミュニティや地域の特徴・新たな知見が得にくいことや、 シビックテクノロジーにおける情報や知識の共有が不足している事 等を指摘している。 以上の背景から、シビック・テクノロジーの開発やデータの実践 的活用に向けた、IT 技術者・行政・利害関係者を結びつける仕組み づくりに対する研究の必要性が高まっている。特に、ビッグデータ 活用において一般に重要とされているデータの種類の多様性、即ち 「データの質的側面」の担保に加えて、参加性、透明性、協業性といっ た「シビック・テクノロジーの協働的側面」の現状把握が重要である。 1−2 研究の目的 本研究では、ICT 技術を活用し市民参加を促す計画支援ツールとし てのシビック・アプリのデータベース分析と、開発者およびアプリ を活用している行政機関に対するヒアリング調査を通じて、収集さ れているシビック・ビッグデータの性質及び、アプリ開発やデータ 活用時における一連のプロセスからみた課題を明らかにする。具体 的には以下の3点を明らかにすることを研究の目的する。 1シビック・アプリの開発と活用の実態 2構築されつつあるシビック・ビッグデータの性質 3シビック・テクノロジーの開発から活用における課題 以上を踏まえて、今後シビックテクノロジーを参加型まちづくり に役立てる為の方策について論じる。用語の定義を表1に示す。 米国におけるビッグデータを活用したシビック・テクノロジーの実態と課題 A STUDY ON THE CHALLENGES AND REALITIES OF CIVIC TECHNOLOGY UTILISING BIG DATA IN THE UNITED STATES