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1. 本研究の背景と目的 近年、在院日数の短縮に向けてわが国の精神科病院の治療・療養 環境は大きな変化を遂げた。まず、患者像の多様化に伴い、病棟は 疾患種別による専門化が進められてきた。また、病棟を患者の生活 の場として位置づける病院が増えたことに伴い、高齢者施設を生活 の場として計画する際にその有効性が示された「段階的空間構成」 が多くの精神科病院にも導入されてきた。 先行研究 では、「段階的空間構成」が精神科病棟の一つの「定型」 になりつつある一方で、細分化された専門病棟に対しては、その空 間構成が必ずしも患者の特性に対応しているとは言えない現状を示 した。本研究は、段階的空間構成を持つ病棟に焦点を当てて、属性(疾 患・症状、年齢、性別))を踏まえた上で治療プロセスの異なる患者 の空間利用の特性と空間的ニーズを的確に捉え、人間 環境系の視点 2,注 1) から精神疾患患者の治療・療養に寄与する病棟空間のあり方を 解明することを目的とする。 また、本研究では、1疾患種別の多様化による病棟区分の専門化、 2病棟の段階的空間構成、という精神科医療施設において近年見ら れる傾向を背景に踏まえながら、精神科病棟が患者の「生活の場」 であると同時に「治療の場」でもあるということを前提としている。

A STUDY ON THE MEANING OF PLACE AND THE SPACE RECOGNITION PROCESS OF PSYCHIATRIC PATIENTS