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研究の背景と目的および手法 我々が建築空間を表現するとき、そこには自身の内的世界が投 影されると思われる。その所産として、具現化された作品は何らかの 形式性を帯びる。内的世界は直接目では確認できないが、作品の形 式性を見出すことによって、ある程度推測することが可能である。内 的世界を探るための手法の一つに、「居住空間構成法」を用いた実験 がある。居住空間構成法は、1/50の規格化された様々な壁、家具、 人形などの模型(以下、「道具」)をホワイトボード上に自由に配置 して具体的な建築空間を表現する手法である。これまでに、居住空 間構成法による作品の分析から、分裂病者文献1)や児童文献2)や知的障害 児文献 3)や幼稚園児文献 4)の内的世界が報告されてきた。 居住空間構成法による作品の制作過程では、被験者はあらかじめ 頭の中にある設計図に従って道具を配置しているわけではない。ホ ワイトボード上の模型の世界と相互作用し、時には何度も作り直し ながら、徐々に空間を拡張していく。居住空間構成法による建築空 間の表現を、設計初期段階におけるアイデアスケッチ等と同様の、被 験者の内部と外部を橋渡しする創造的な行為と捉える。また、居住空 間構成法では、道具の配置によって空間構成が進められるためス ケッチなどの表現手法に比べて、空間操作の手順を明確に捉えるこ とができる。また、道具が規格化されているため、異なる被験者同 士の制作過程を比較しやすい。 本研究では、居住空間構成法による作品の制作過程(以下、「空間 構成過程」)に着目する。空間構成過程において道具を配置する行為 (以下、「配置行為」)の潜在的な規則を発見し、そこから空間構成過 程の特徴を推測することを目的とする。これは、空間構成に関わる内 的世界を探る上での有用な知見になると思われる。 空間構成過程では、多くの道具が配置され、さらに道具の種類も多 様である。また道具の移動や除去によりその様相が絶えず移り変わ る。よって、人間の能力では発見不可能な分類規則もあり得る。そこ で、機械学習の枠組みの一つである「帰納論理プログラミング Inductive Logic Programming」注 2) (以下、「ILP」)を用いて、配置 行為の規則を抽出する方法を提案する。ILPは、個々の事例を一般 化して新たな概念を導き出す帰納推論 Inductive Reasoningを、一 階述語論理上で展開する枠組みである。帰納推論では、教師がある 概念の例である「正事例」および反例である「負事例」を提示し、コ ンピュータが、正事例に対して真となり、負事例に対して偽となる 「分類規則」を見つける。分類規則を用いて、新たに提示された事例 が正事例か負事例か予測することができる。本論文では、空間構成過 程という概念の分類規則をその概念に固有な特徴として捉える。 ILP以外の機械学習の枠組みとしてC4.5等のような命題論理に基 帰納論理プログラミングを用いた空間構成過程の解析 -居住空間構成法による空間構成過程における固有な規則の抽出 -

nihon kenchiku gakkai keikakukei ronbunshu/nihon kenchiku gakkai keikaku-kei rombunshū

ANALYSIS OF SPATIAL COMPOSITION PROCESS BY INDUCTIVE LOGIC PROGRAMMING : Extracting peculiar rules in process of spatial composition on space montage technique