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Objective of this study is the estimation of optimal therapeutic wavelength for percutaneous laser disk decompression. The optical properties measurement system which was combined with a double integrating sphere optical setup and an inverse Monte Carlo method was developed. The absorption coefficient spectrum and reduced scattering coefficient spectrum of a human herniated nucleus pulposus in the visible and near-infrared wavelength range were determined. As a result of a comparison to normal nucleus pulposus, reduced scattering coefficient spectrum of a human herniated nucleus pulposus showed an increasing tendency in the short wavelength region. Compared to a conventional wavelength, Nd: YAG laser with a wavelength at 1064 nm, it 〒 565 − 0871 大阪府吹田市山田丘 2−1 A14 棟 TEL: 06−6879−4735 FAX: 06−6879−7363 (2−1−A14 Yamadaoka, Suita, Osaka, Japan, 565−0871) Corresponding author: awazu@see.eng.osaka-u.ac.jp(粟津 邦男) JJSLM Vol.31 No.2(2010) かしながら,レーザー照射条件(波長,照射時間,照射 間隔,総エネルギー量)に関してガイドラインがなく, 個々の医師が経験に基づいて決定していると言わざる をえない.実際,これまでに様々な波長のレーザー(波 長 532 nm の KTP レーザー,波長 1064 nm の Nd: YAG レーザー 5,6),波長 2.1 μm の Ho: YAG レーザー 7), 波 長 980 nm の半導体レーザー 8)等)が検討されており, 現在の主流は Nd: YAG レーザーもしくは Ho: YAG レ ーザーである 9).これら 2 つのレーザーの使用根拠は 水の吸収特性に基づくものであると推察される 10).Ho: YAG レーザーは組織侵達度が約 0.5 mm と浅く,周囲 の温度上昇は 5 °C未満に抑えられるとの報告があり, 神経組織と近接した椎間板内で利用するには安全なレ ーザーであるとされている. 椎間板ヘルニアの治療は MicroLove 法に見られるよ うに,あくまで神経に対する圧迫局所に対する減圧 操作であり,椎間板広範に及ぶ外科的介入ではない. PLDD においても同様に,神経圧迫局所に限局した治 療が望まれる.レーザー照射による熱変性や蒸散効果 が神経圧迫局所より広範に及べば,椎間板変性そのも のを助長する結果となる可能性もある.したがって, 椎間板ヘルニア髄核病変組織のみならず正常髄核組織 に対して光拡散の傾向が観られる PLDD においては, レーザーによる熱変性および蒸散を限局させることの できるレーザー照射条件が望ましく,これにより神経 組織をはじめとした周辺組織への熱影響も緩和され, 治療の安全性が向上すると考えられる. レーザー治療において,使用する波長は対象組織の光 学特性(吸収係数 μa,散乱係数 μs,異方性因子 g など) に基づいて決定されるべきである.主に可視域におい て,これまでに様々な生体組織の光学特性値が報告され てきた 11).しかしながら,椎間板ヘルニア病変組織の光 学特性に関する報告は,著者の調査によるとない.そこ で本論文では,水の吸収特性ではなく椎間板ヘルニア病 変組織の光学特性に基づいて PLDD に最適な波長を考 察することを目的とし,双積分球光学系と Inverse Monte Carlo(IMC)法を組み合わせた光学特性算出システムを 用い,ヒト椎間板ヘルニア病変組織の可視・近赤外域の 吸収係数スペクトルおよび換算散乱係数スペクトルの決 定を行った.また,得られた光学特性から,PLDD に有 効な波長を考察した.本研究の最終目標は,科学的根拠 に基づいた効果的な波長,すなわち,椎間板ヘルニア病 変組織に限局した熱変性・蒸散が可能な波長を用いた安 全な PLDD 治療技術の開発である. 1. はじめに 椎間板ヘルニアとは,椎間板を構成している髄核ま たは線維輪内層が周囲を取り囲んでいる線維輪を穿破 して,本来の位置から周囲に向かって突出した状態を いう.広義の椎間板ヘルニアには,前方突出や椎体内 突出も含まれるが,臨床的に問題となるのは神経組織 と接している後方への突出である.髄核の水分含有率 は小児期で約 88%,老年で約 66% といわれているが, 変性椎間板ではこの含有率が減少する.これに反復す る捻転負荷が加わると線維輪に放射状亀裂が形成され, 椎間板ヘルニアが発生すると考えられている 1). 椎間板ヘルニアの低侵襲治療法の一つに経皮的レーザ ー椎間板減圧術(Percutaneous Laser Disc Decompression; PLDD)がある.厚生労働省第 2 項先進医療の各技術の概 要によると,PLDD とは「椎間板髄核をレーザー照射す ることにより,熱変性または蒸散させ,ヘルニア組織の 神経根に対する圧迫を軽減する.」治療法であるとされ ている 2).PLDD の作用機序は,レーザーの椎間板内蒸 散により椎間板内圧が約 50%の減弱をみたという Choy らによる報告が根拠となっている 3).PLDD の治療成功 率は約 70 %と報告されており,成功した場合は平均 1 週間程度で仕事に戻ることができ,再発の危険性は約 5% と言われている 4,5).しかし,全てのヘルニアの症例に 適用できるわけではなく,基本的には初期~中期のヘル ニアに適用される治療法であり,重度のヘルニアには効 果が見られない場合が多い.加えて,椎間板の突出した 部分が大きい場合や,ヘルニアの発症が古いもので硬化 している場合には十分な蒸散効果が得られず,最終的に 切開手術が必要になる場合もある.すなわち,PLDD 適 応を正確に見極めることが重要である. PLDD では,X 線透視下のもと患者は側臥位となり, 前屈の姿勢をとらせ椎間板腔を開大させる.皮膚と筋 組織に部分麻酔が施され,椎間板中央に中空針が差し 込まれる.X 線透視像,さらに CT スキャンなどで穿指 針の先端を確認しながら髄核中央付近に設置する.針 を通してファイバーが髄核中央に差し込まれる.そこ から,レーザー照射によるエネルギーを髄核に与えて 蒸散を起こし,椎間板中心部の髄核をレーザー照射に より一部空洞化させ,髄核自身の容量を減少させ,椎 間板内圧を下げることにより,神経根を圧迫している ヘルニアを減少させ痛みを取り除き,神経症状が改善 される療法であると一般的には理解されている. PLDD は前述のようにファイバーを髄核内に挿入す るところまでは一般的な術式として決まっている.し was confirmed that a laser with a visible short wavelength realized a safe PLDD from the estimated result of light diffusion lengths calculated by the optical properties. Key word:optical property, double integrating sphere, inverse Monte Carlo simulation, herniated nucleus pulposus, percutaneous laser disk decompression 153 日レ医誌(JJSLM)第31巻第2号(2010) 値と実験値を比較する.4)実験値と理論値との差が Rd お よび Tt ともに 0.5 % 以下になった時の光学特性値ペアを 測定組織の光学特性値と決定する. 実験値と理論値が 一致しないときは,実験値と理論値との差が上述の閾値 以下に至るまで,上述の 1)~ 3)の手順を繰り返す.なお, シミュレーションの条件は,g を 0.9,組織の屈折率 n を 1.33 とした. 3. 実験結果 Fig.2 に測定試料(スライドガラスに封入したヒト椎間 板ヘルニア髄核組織)の写真を示す.透明組織である正 常な髄核組織と異なり白濁していることが確認できる. Fig.3(a)にヒト椎間板ヘルニア髄核組織の μa スペクトル, Fig.3(b)に μs’ スペクトルを示す.吸収係数に関しては, 波長 400 nm 付近と波長 1000 nm 付近でピークが確認さ れた.換算散乱係数に関しては,短波長側に向かうにつ れ増加することが確認された. 2. 実験方法 2.1 試料 MicroLove 法にて摘出されたヒト椎間板ヘルニア組織 を使用した.2 枚のスライドガラス(S-1112,松浪硝子 工業)に挟んだものを測定試料とした.組織の厚みは, 厚さ 1 mm のスペーサー用いて調整した. 2.2 光学特性算出方法 双積分球光学系を Fig.1 に示す.双積分球光学系は, 二つの積分球の間に測定対象を置くことで拡散反射率 Rd と透過率 Tt を同時に測定することが可能であり,生体 組織の光学特性値測定において広く用いられている 12). 積分球は,外径 100 mm,内径 84 mm,入射ポート径 10 mm,サンプルポート径 10 mm,内面に BaSO4 を塗布 したもの(CSTM-3P-GPS-033-SL, Labsphere)を使用した. 光源には,波長約 220 ~2000 nm を発生する高安定キセ ノンランプ光源(キセノンランプは L2274(GS),電源は C8849,ランプハウスは E7536,浜松ホトニクス株式会 社)を使用した.光源からの出射光は,虹彩絞りにより ビーム形状を整え,レンズ光学系を用いて擬似平行化し, 積分球入射前より集光を行い,積分球入射直前に虹彩 絞りを設置しビーム系を制限し,試料表面でビーム直径 1 mm とし試料に照射した.試料から拡散反射及び透過 し積分球の内部表面で拡散反射された光を積分球に設け られた検出ポートからコア直径 600 μm のマルチモードフ ァイバー(QP600-1-VIS-NIR, Ocean Optics)を通して高分 解能分光器(Maya2000-Pro; 200-1100 nm, Ocean Optics)に 伝送した.Rd 及び Tt の測定は波長域 350 nm ~1000 nm, 波長分解能は,約 0.48 nm にて行った. 測定した Rd 及び Tt から IMC 法を用いて椎間板ヘル ニア髄核組織の光学特性値 μa および換算散乱係数 μs’ (=μs (1-g))を算出した.IMC シミュレーションコードは S.L. Jacques,L.V. Wang らにより研 究・開 発され 13,14),現 在 Oregon Medical Laser Center at Providence St. Vincent Medical Center で公開されている Monte Carlo シミュレーシ ョンコード 15)を用いて独自に開発した.光学特性算出の アルゴリズムは次の手順に従う.1)サンプルの光学特性値 μa および μs のペアを推定する.2)Monte Carlo シミュレー ションを用いて,推定したサンプルの光学特性値ペアから Rd および Tt の理論値を算出する.3)Rd および Tt の理論 Fig.1 The optical setup of double integrating sphere system Fig.3 The optical properties of human herniated nucleus pulposus, (a) absorption coefficient spectrum, (b) reduce scattering coefficient spectrum Fig.2 Picture of the sample human herniated nucleus pulposus 154 JJSLM Vol.31 No.2(2010) 4. 考察 4.1 正常髄核組織との比較 正常(白濁していないという意味)な髄核組織の光学 特性の参考値として,Fig.4(a)にブタ髄核組織(大阪食 肉臓器株式会社より購入したブタの脊椎から手術用メス を用いて摘出し,生理食塩水に浸漬して血液を洗浄した もの)の吸収係数スペクトル,Fig.4(b)に換算散乱係数 スペクトルを示す.吸収係数スペクトルにおいて,波長 400 nm 付近および波長 500 ~600 nm 帯にピークが確認 されるが,これはブタ髄核摘出時に混入した血液のヘモ グロビン由来である.髄核は無血透明組織のためヘモグ ロビンの含有はなく,今回利用したブタ髄核組織のコン ディションによるものであり,本来は存在しない吸収ピ ークであることを断り書きしておく. 白濁組織(すなわち Fig.3 に示される椎間板ヘルニア 髄核組織)と透明組織(ここでは Fig.4 に示されるブタ髄 核組織)を比較すると,μa は波長 500 ~1000 nm 域にお いてほぼ同じ(約 0.1 mm-1 の差)であることが分かる. 一方,μs’ は波長 800 nm 以下で大きく異なり,その差は 短波長側に向かうにつれて大きいことが分かる.つまり, 椎間板ヘルニア髄核組織は透明な髄核組織に比べて非常 に散乱しやすい性質もち,短波長のレーザーほど直進し にくく,熱変性・蒸散効果を限局させることができると 考えられる.ただし,本考察は透明か白濁かで議論して おり,ヒト組織とブタ組織を比較している点は課題を残 しており,今後の詳細な検討は必要である. 4.2 光侵達深さから考えられる最適波長 PLDD の主な合併症としては,1プローブ先端の破損, 2レーザーファイバー折損によるレーザーの誤射,3 椎間板終板の損傷,4神経根障害などが挙げられる 16). レーザーは高い指向性を持つため,可視・近赤外波長領 域のレーザーを用いる場合に通常のファイバーで照射を 行うと,標的である髄核部分を超えて周辺組織に照射影 響を及ぼす可能性がある.これを防ぐためにはレーザー の出力を下げる必要があるが,それに伴い蒸散が困難に なるという悪循環に陥る.この問題を解決するため,光 エネルギーを側光に変え,通常のファイバーに比べて髄 核に照射エネルギーを集中させやすくすることを目的に した先端加工ファイバーが使用されている.円柱型アク ティブファイバー,円錐状テーパーファイバー,ドーム 型アクティブファイバーなどいくつかの種類が開発され おり,円柱型は先端部が脆く折れやすい,円錐型は Nd: YAG レーザーとの相性が悪く先端が融解してしまうな どデメリットがあるが,ドーム型は物理的強度および直 進光の抑制の両面において優れた結果を示すとされてい る.しかしながら,先端加工ファイバーは光エネルギー を熱エネルギーに変換する傾向があり,いわゆるホット チップのような使用方法であると推察され,レーザーの

nippon laser igakkaishi/nihon reza igakkaishi

Determination of the Optical Property of Herniated Nucleus Pulposus and a Discussion about an Optimal Wavelength of Percutaneous Laser Disk Decompression