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高密度群飼が子牛の空間行動,社会行動および増体重に及ぼす影響を知る目的で,子牛を4.5m2/頭および69.1m2/頭で7週間群飼とし,その群行動を比較検討した.12頭のホルスタイン種去勢子牛(5か月齢,平均体重155.1kg)を2群に分け,それぞれ69.1m2/頭の屋外運動場(LD群)と4.5m2/頭の群飼ペン(HD群)で放し飼いとし,7週間飼養した.行動観察は第3週および第6週に7日間連続して行ない,各個体の横臥行動および個体間の距離を記録した.また朝夕の給飼の前後1時間に群内の敵対行動を押し合い,頭突き,押しのけ,威嚇,回避に分けて記録した.各群は乾草および水を自由摂取とし,そのほかに配合飼料を5週までは1日1頭当り2kgを与え,6週目には3kg,7週目には4kgを給与した.体重測定は1週間隔で行なった.横臥行動の日内パターンには群間に違いはなかった.平均最近接個体間距離(rA)はLD群が約2m, HD群が約1mと有意な差(P<0.01)があったが,rAとその期待値との比はLD群が0.40.5と有意な集合性の分布(P<0.05)を示したのに対して,HD群は0.91.0とランダムな空間分布であることを示した.敵対行動の頻度は3週目においてLD群295回,HD群580回と高密度群飼で約2倍の値となったが,6週目では両群とも600回程度ではぼ等しい値となった.両観察期間を通じて,LD群では押し合いが多く,HD群では頭突き,押しのけ,威嚇,回避など一方的な敵対行動が多かった.また,3および6週の観察結果から算出したそれぞれの優劣順位は,LD群では両順位間の相関は低かったが,HD群では有意な正の相関(P<0.01)が得られ,高密度群飼では個体間の優劣関係がより厳格であることが示唆された.平均増体量(kg/日)は4週目までは両群に差はなかったが,後半の5から7週目ではLD群が1.22であったのに対して,HD群は0.89と有意に低い値となり,高密度で長期間群飼すると増体重に悪影響がでる可能性があることが示唆された.

Effect of High Density on Spacing Behavior, Social Behavior and Weight Gain of Calves