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イチゴは 20°C前後の気温を適温としていることから,本 来,自然条件下(露地)では北日本のような冷涼な気候に 適する作物である.しかし,1950年代に入って農業用のプ ラスチックフィルムが急速に普及してハウス栽培が盛んに なったことから,わが国のイチゴ栽培は暖地中心となった. 本格的なイチゴのハウス栽培は1970年代前半からとされて いる(施山,2001)が,ハウス栽培の普及によってわが国 におけるイチゴの育種も加温や保温を主体とした促成栽培 や半促成栽培向けの一季成り性品種の育成に主力が注がれ るようになった.しかし,イチゴは夏秋期においても洋菓 子(特にケーキ)用としてかなりの需要があり,価格的に も高値で取り引きされることから,最近,公的機関,民間 の種苗会社,個人育種家が高温長日期の栽培に向く四季成 り性品種の開発に活発に取り組むようになった.四季成り 性イチゴの品種特性や育種動向については,ここ数年全国 的な情報として園芸関係の専門誌や普及誌等で度々取り上 げられている(今田,2004; 沖村,2002,2003; 施山,2003; 田村,1999)が,本報では特に東北・北海道地域における 寒冷地の四季成り性品種の育種の現状と展望について述べ てみたい.

Present Status and Prospects of Everbearing Strawberry Breeding in Northern Japan