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光は波の性質を有し,その振る舞いは複素振幅として定 量的に表現される.複素振幅は光の明るさ情報(振幅)と 波面の凹凸情報(位相)から構成される.透明物体を光で 照明した場合,光を吸収しないために,その光の振幅は変 化せず位相が透明物体の厚さや屈折率に従って変調され る.このため,透明物体は位相物体とも呼ばれる. 近年,動く透明物体の可視化や 3次元計測への期待や要 求がさまざまな分野で高まっている.例えば,工業分野で は生産ラインを流れている透明な部品の高速高精度検査, 噴流器から発せられる気体や液体の 3次元計測,医療分野 では,生細胞の動態解析などがある.さらには,放電の解 析,爆発,燃焼,レーザ加工で発生する衝撃波やレーザビ ーム集光により誘起されるプラズマの解析など多岐にわた る.従来の透明物体の可視化技術として,シュリーレン 法,シャドーグラフ,位相差顕微鏡等がある.これらの技 術では,透明物体の定量的な可視化が難しいという問題が あった. 物体の位相を記録できる技術にホログラフィがあり,こ の技術における情報媒体がホログラムと呼ばれる.この 技術では,位相を記録できるために,透明物体の定量的な 可視化や計測が可能である.従来のホログラフィでは,ホ ログラムの記録にホログラフィック材料を用いていた.記 録された材料は現像処理が必要,書き換え不可能という問 題があり,動く物体の記録や計測が困難であった.この問 題を解決する技術としてディジタルホログラフィが考 案され,近年多くの機関で研究が精力的に進められてい る. 本解説では,ディジタルホログラフィについて説明し, 著者らが研究している,動く物体に対しても正確な位相な らびに 3次元像を記録・再生できる並列位相シフトディジ タルホログラフィについて説明する.また,偏光高速度カ メラを用いて構成した高速度並列位相シフトディジタルホ ログラフィシステムおよびこのシステムを高速に動く物体 に対して適用した場合に得られた高速度位相動画像記録と 定量可視化の結果について紹介する.

Quantitative Visualization of Dynamic and Transparent Object by Parallel Phase-shifting Digital Holography