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将来の半導体産業や情報通信産業の展望において,ゼロ 膨張ガラスがキー素材になろうとしている.極端紫外線リ ソグラフィ(Extreme Ultraviolet Lithography : EUVL) は半導体産業の将来を左右する技術であり,激烈な開発競 争が繰り広げられている.EUVL システムは波長 13.5 nm の EUV 光を用いるために,光学系は反射型で構成され る.光学ミラーおよびフォトマスクの基体材料として,所 望 の 温 度 で 線 膨 張 係 数(Coefficient of Thermal Expansion : CTE)が 0:5 ppb/K 以内という究極的な熱 膨張特性をもつガラス材料が必要とされている.また, 次世代の光周波数標準においては,超高フィネス・オプテ ィカルキャビティーがキーデバイスであり,ここでも室温 付近でゼロ CTE を有する超均質なガラス材料が求められ ている. ゼロ膨張ガラスの候補として,TiO2 をドープした SiO2 ガラス(TiO2-SiO2 ガラス)が挙げられる.市販のガラ スには脈理の問題があるが,このガラスは TiO2 濃度を約 7 wt% 付近で調整することにより,CTE をゼロにできる ことが知られている.しかしながら,その正確な TiO2 濃度や均質性などの製造条件に未確立の問題がある.それ は,従来の CTE 特性を評価・分析する方法の問題に直結 され,EUVL グレードの仕様に対しては従来法の測定精 度は不十分で,EUVL 用途として要求される「基体表面」 での評価に対応できないという問題である. そこで,筆者らは直線集束ビーム超音波材料解析 (Line-Focus-Beam Ultrasonic Material Characterization : LFB-UMC)システムを用いた新しい超音波手法を提 案・実証している.本方法は「試料表面」に弾性表 面波を励振・伝搬させて,非破壊・非接触的に高精度に音 速を測定し CTE を評価するものである.これまでに,本 システムによる超低膨張ガラスの評価手順と,ガラ スの開発段階ならびに量産段階においての応用手順を確立 している. 本稿では,まず市販の TiO2-SiO2 ガラスを用いて,製 造条件と関連した周期的な脈理の評価方法,TiO2 濃度と CTE に対する検量線を検討し,EUVL 用 TiO2-SiO2 超低 膨張ガラスの評価・選別法をまとめる.さらに,スート法 により TiO2-SiO2 超低膨張ガラスを試作し,本超音波法 の有用性と実用性を検証した結果をまとめる.

Super-Precise Evaluation of EUVL-grade Ultra-Low-Expansion Glasses Using the Line-Focus-Beam Ultrasonic Material Characterization System