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━━To date, no drugs or strategies have been developed to prevent or overcome acquired resistance to epidermal growth factor receptor tyrosine kinase inhibitor (EGFR-TKI) in EGFR-mutated non-small cell lung cancer (NSCLC). We hypothesized that the insertion of platinum-doublet chemotherapy after the initial response to EGFR-TKI might prevent the emergence of acquired resistance to EGFR-TKI and prolong the patient survival. To test this hypothesis, we carried out a phase II study of the following first-line treatment for patients with advanced NSCLC harboring EGFR mutations. Gefitinib was administered on days 1-56. Then, after a two-week drug-free period, three cycles of cisplatin and docetaxel were administered on days 71, 92, and 113. Thereafter, gefitinib was reinitiated on day 134 and continued until disease progression. This phase II study showed promising outcomes, including a median progression free survival of 19.5 months and median survival time of 48.0 months. To confirm this phase II result, a phase III clinical trial comparing gefitinib monotherapy and gefitinib combined with inserted platinum-based chemotherapy (cisplatin plus pemetrexed) started as an intergroup trial in Japan by the Japan Clinical Oncology Group (JCOG) and West Japan Oncology Group (WJOG) (JCOG1404 WJOG8214L, AGAIN study). (JJLC. 2015;55:879-884) KEY WORDS━━EGFR mutation, EGFR tyrosine kinase inhibitor, Gefitinib, Chemotherapy, Combination therapy 要旨━━EGFR遺伝子変異陽性肺癌のEGFRチロシン キナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)耐性化を予防・克服するた め,新世代薬の開発や他の分子標的治療薬との併用など が試みられているが,実臨床で用いることのできる治療 はまだない.われわれは,EGFR-TKI の奏効時点でプラ チナ併用化学療法を挿入して行うことで耐性化が予防で き,より長い無増悪生存が得られるのではないかと仮説 を立て,EGFR遺伝子変異陽性肺癌患者に対する初回治 療として,1ゲフィチニブ 8週間内服の後,2シスプラ チン ドセタキセル 3サイクルを実施,3その後ゲフィチ ニブ内服を病勢増悪まで行う治療の第 II 相試験を行っ た.この試験では,33 人を対象として,無増悪生存期間 中央値 19.5 ヶ月,生存期間中央値 48.0 ヶ月と良好な結 果が得られ,治療方略が有望であることが示された.2015 年末に,WJOG JCOG共同試験として,このゲフィチニ ブ奏効時点でプラチナ併用療法を挿入する治療と標準治 療であるゲフィチニブ単剤治療との比較第 III 相試験が 開始される予定である.ここでは,EGFR遺伝子変異陽性 肺癌とEGFR-TKI に関する最近の知見を踏まえ,この共 同試験の設計と展望について考える. 索引用語━━EGFR遺伝子変異,EGFRチロシンキナー ゼ阻害薬,ゲフィチニブ,化学療法,併用療法 1国立がん研究センター中央病院呼吸器内科. ※第 55 回日本肺癌学会学術集会シンポジウム 1「EGFR-TKI 治 療成績のさらなる改善をめざして」. (肺癌.2015;55:879-884) 2015 The Japan Lung Cancer Society A Phase III Study of Gefitinib Plus Inserted Platinum-doublet Chemotherapy―Kanda 880 Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp Table 1. Pivotal Clinical Trials Comparing EGFR-TKI and Platinum-doublet Chemotherapy as First-line Treatments Trials Treatment n PFS (months), HR OS (months), HR IPASS1,2 (subgroup analysis) Gefitinib 132 9.5 0.48 (0.36-0.64) 21.6 1.00 (0.76-1.33) CBDCA+PTX 129 6.3 21.9 WJTOG34053,4 Gefitinib 88 9.6 0.49 (0.34-0.71) 35.5 1.19 (0.76-1.82) CDDP+DTX 88 6.6 38.8 NEJ0025,6 Gefitinib 99 10.8 0.32 (0.24-0.44) 27.7 0.89 (0.63-1.24) CBDCA+PTX 101 5.4 26.6 OPTIMAL7,8 Erlotinib 82 13.7 0.16 (0.10-0.26) 27.7 1.04 (0.69-1.58) CBDCA+GEM 72 4.6 28.9 EURTAC9 Erlotinib 86 9.7 0.37 (0.25-0.54) 19.3 1.04 (0.65-1.68) Platinum-based 87 5.2 19.5 LUX-Lung 310,12 Afatinib 230 11.1 0.58 (0.43-0.78) 28.2 0.88 CDDP+PEM 115 6.9 28.2 LUX-Lung 611,12 Afatinib 230 11.1 0.28 (0.20-0.39) 23.1 0.93 CDDP+GEM 115 6.9 23.5 Abbreviations: PFS, progression free survival; OS, overall survival; CDDP, cisplatin; CBDCA, carboplatin; PTX, paclitaxel; GEM, gemcitabine; PEM, pemetrexed; DTX, docetaxel. EGFR遺伝子変異陽性肺癌におけるEGFRチロシン キナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)耐性の予防・克服は,現代 の肺癌治療の大きな課題のひとつである.EGFR遺伝子 変異陽性進行非小細胞肺癌に対する初回治療の第一選択 は,日本などで行われた幾つかのプラチナ併用療法との 第 III 相試験の結果から,1-12 ゲフィチニブ,エルロチニ ブ,アファチニブといったEGFR-TKI 単剤治療である (Table 1).EGFR-TKI により EGFR遺伝子変異陽性肺 癌の 70~80%で奏効を得ることができるが,ほとんどの 場合はある程度の無増悪生存期間(progression free survival,PFS)の後に耐性化し再増悪を来す.第 1世代 EGFR-TKI(ゲフィチニブやエルロチニブ)耐性の分子 生物学的機構として,ゲートキーパー変異(exon 20 T790M点変異)13 や HGF(hepatocyte growth factor)Met 経路など側副経路の活性化,14,15 小細胞肺癌への形 質転換16などがわかっているものの,それを予防・克服 する実際的な治療・方略は未だ確立されていない. 第 1世代 EGFR-TKI 耐性化肺癌の 50~60%で exon 20 T790M点変異がみられる.現在このT790M点変異を有 する癌細胞にも感受性を示す第 3世代 EGFR-TKI が開 発されており,いまのところT790M点変異陽性肺癌に 対する奏効割合は 60%程度と報告されている.17,18 こ れら新薬は,有望ではあるが,全ての第 1世代 EGFRTKI 獲得耐性肺癌やT790M点変異陽性肺癌に有効なわ けではなく,使用方法の確立にももう暫く時間を要する と推測される.また,既にそうした第 3世代 EGFR-TKI に対する耐性も報告されており,19,20 それだけでは EGFR-TKI 耐性への対策は十分とはいえない.われわれ は,EGFR-TKI 耐性の予防と治療効果の向上を,実臨床 でも使用可能な化学療法の効果的併用によってできない かと考え,1ゲフィチニブ 8週間内服の後,2シスプラ チン+ペメトレキセド併用療法 3サイクルを実施し,3 その後ゲフィチニブ内服を病勢増悪まで行う試験治療を 考案し,その有効性を検証するためのランダム化比較試 験を計 画,JCOG(Japan Clinical Oncology Group)と WJOG(West Japan Oncology Group)と の 共 同 試 験 (JCOG1404 WJOG8214L 試験)として実施を予定してい る(Figure 1). 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科では, EGFR-TKI の奏効時点でプラチナ併用化学療法を挿入 して行うことで耐性化が予防でき,より長い PFSが得ら れるのではないかと仮説を立て(Figure 2),EGFR遺伝 子変異陽性肺癌患者に対する初回治療として,1ゲフィ チニブ 8週間内服の後,2シスプラチン+ドセタキセル 3サイクルを実施,3その後ゲフィチニブ内服を病勢増 悪まで行う治療の第 II 相試験を行い,その有効性を報告 した.21 EGFR遺伝子変異陽性肺癌の中には,EGFRTKI 感受性変異細胞だけでなく野生型EGFR細胞22や T790M点変異陽性細胞23,24といった EGFR-TKI 耐性細 胞が混在している場合があり,このような肺癌の患者に はEGFR-TKI のみを長期間投与することがEGFR-TKI 耐性細胞の増殖と臨床的な増悪に繋がるとも考えられ る.まず,腫瘍内に潜在するこれらのEGFR-TKI 耐性細 胞を根絶するためにプラチナ併用化学療法の併用を考え た.また,EGFR-TKI 耐性細胞が少ない段階で化学療法 を行うことが最も効果的と考え,EGFR-TKI が奏効し腫 瘍量が減った時期に化学療法を併用することとした.一 方で,われわれは以下の知見から,同時併用ではなくゲ A Phase III Study of Gefitinib Plus Inserted Platinum-doublet Chemotherapy―Kanda Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp 881 Figure 1. JCOG1404/WJOG8214L study schema. Figure 2. Hypothesis. フィチニブを 8週間で一旦休薬する途中挿入を選択し た.1既報の非小細胞肺癌全体を対象としたプラチナ併 用化学療法へのEGFR-TKI の同時併用の第 III 相試験で は,EGFR-TKI の上乗せ効果が認められなかったばかり ではなく,生存曲線が併用群でやや下回る傾向が認めら れた.25,26 2野生型 EGFR癌細胞を用いた基礎実験で は,ゲフィチニブと化学療法の同時併用はゲフィチニブ が細胞周期をG1期で停止させ殺細胞性抗癌薬の効果を 減弱させる,シスプラチンによるカスパーゼ非依存性細 胞死を阻害するといった拮抗作用を示した.27-29 試験で は,根治照射不能 IIIB 期 IV 期 術後再発のEGFR遺伝 子変異(exon 19 部分欠失または exon 21 L858R)陽性未 治療肺癌患者 33 人を対象とした.主要評価項目は 2年無 増悪生存割合とし,閾値 20%,期待値 40%,片側 α= 0.05,β=0.2 で,試験治療を開始した 33 人中 11 人以上で 2年無増悪が達成できれば試験治療は有効と判断する設 定とした.結果は,33 人中 12 人で 2年無増悪生存が得ら れ試験治療は有効と判断(2年無増悪生存割合 40.2% [95%信頼区間 22.9~56.9%]),PFS中央値は 19.5 ヶ月, 5年無増悪生存割合 22.4%,生存期間中央値(median survival time,MST)48.0 ヶ月,5年生存割合 35.4%と,こ れまでの臨床試験におけるEGFR-TKI 単剤治療や化学 療法との併用よりも良好な成果が得られ,特にその長期 予後は良好であった.想定外の重篤な有害事象や治療関 連死は認めず,既報のゲフィチニブ単剤やシスプラチ ン+ドセタキセル療法と比べて併用による毒性の増強は なかった. EGFR-TKI と化学療法(特にプラチナ製剤を含む治 療)との併用療法を用いた臨床試験は幾つかあるが, EGFR遺伝子変異陽性肺癌のみを対象としてEGFRTKI 単剤療法と比較し生存期間延長効果を検証した試 験はまだない(Figure 3,Table 2).CALGB30406 試験は, EGFR遺伝子変異陽性に限らない非喫煙・軽喫煙の肺腺 癌患者を対象として,エルロチニブ単剤療法とエルロチ ニブとカルボプラチン+パクリタキセル(6サイクルま で)との同時併用療法を比較したランダム化第 II 相試験 A Phase III Study of Gefitinib Plus Inserted Platinum-doublet Chemotherapy―Kanda 882 Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp Table 2. Clinical Trials of Combination Therapies Consisting of EGFR-TKI and Chemotherapy Trials n Treatment PFS (months) OS (months) CALGB3040630 Randomized phase II (EGFR-mutated subgroup) 33 CBDCA+PTX + Concurrent Erlotinib 17.2 38.1 FASTACT-231 Phase III (EGFR-mutated subgroup) 49 Platinum+GEM + Intercalated Erlotinib 16.8 31.4 NEJ00532 Randomized phase II 41 CBDCA+PEM→ PEM + Concurrent Gefitinib 18.3 41.9 NCCH study21 Phase II 33 Gefitinib + Inserted CDDP+DTX 19.5 48.0 Abbreviations: PFS, progression free survival; OS, overall survival; NCCH, National Cancer Center Hospital; CDDP, cisplatin; CBDCA, carboplatin; PTX, paclitaxel; GEM, gemcitabine; PEM, pemetrexed; DTX, docetaxel. Figure 3. Combination therapies consisting of EGFR-TKI and chemotherapy. であり,EGFR遺伝子変異陽性肺癌患者併用療法群の PFS中央値は 17.2 ヶ月,MSTは 38.1 ヶ月であった.30 FASTACT-2 試験は,EGFR遺伝子変異陽性に限らない 非小細胞肺癌患者を対象として,プラチナ製剤とゲムシ タビンの併用化学療法(4週毎・6サイクルまで)と化学 療法にエルロチニブの間欠投与(化学療法の day 15~ 28)を併用する治療との第 III 相試験であり,EGFR遺伝 子変異陽性肺癌患者併用療法群の PFS中央値は 16.8 ヶ 月,MSTは 31.4 ヶ月であった.31 上記 2試験はその対象 をEGFR遺伝子変異陽性に限っていない.また,これら の PFSはこれまで報告されているEGFR-TKI 単剤の PFSとプラチナ併用化学療法の PFSを足した程度であ り,全生存期間も既報より良好とはいえず,これらEGFR 遺伝子変異陽性サブグループの結果だけをもって併用療 法の有効性を判断することはできない.日本のNEJSG (North East Japan Study Group)と TCOG(Tokyo Cooperative Oncology Group)で 行 わ れ たNEJ005 TCOG 0902 試験は,EGFR遺伝子変異陽性肺癌患者のみを対象 として,ふたつのスケジュールの異なるゲフィチニブと カルボプラチン+ペメトレキセド療法の併用を比較した ランダム化第 II 相試験である.ゲフィチニブとカルボプ ラチン+ペメトレキセド療法(6サイクルまで,その後ゲ フィチニブとペメトレキセド)との同時併用と,ゲフィ チニブ 8週間内服とカルボプラチン+ペメトレキセド療 法 2サイクルを交互に 3回繰り返す(その後ゲフィチニ ブとペメトレキセドを交互に繰り返す)交替療法が比較 A Phase III Study of Gefitinib Plus Inserted Platinum-doublet Chemotherapy―Kanda Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp 883 された.32 前者の方が簡便かつ全生存期間良好な傾向が あり(PFS中央値 18.3 ヶ月,MST 41.9 ヶ月),第 III 相試 験に用いる試験治療として選択された.その後,ゲフィ チニブ単剤療法と,ゲフィチニブとカルボプラチン+ペ メトレキセド療法の同時併用療法と比較するNEJ009 試 験が行われており,既に症例集積を終了している.NEJ 009 試験と JCOG1404 WJOG8214L 試験とは,化学療法 併用のタイミングや,用いるプラチナ製剤,ペメトレキ セドを維持療法として継続するかどうかという点で異な る.2試験によって,併用の意義とともに至適な併用のタ イミングが判明すると考えられる. 「EGFR遺伝子変異陽性進行非扁平上皮非小細胞肺癌 に対するゲフィチニブ単剤療法とゲフィチニブにシスプ ラチン+ペメトレキセドを途中挿入する治療とのランダ ム 化 比 較 試 験(JCOG1404 WJOG8214L:AGAIN試 験)」は,JCOGとWJOGの共同試験として全国約 60 施設で 2015 年末に開始した.Primary endpoint は全生 存期間であり,標準治療ゲフィチニブ単剤に対して,ゲ フィチニブにシスプラチン+ペメトレキセドを途中挿入 する試験治療の優越性を検証する.第 II 相試験ではシス プラチン+ドセタキセルであったが,第 III 相試験では 現在の日本における使用状況などを鑑みてシスプラチ ン+ペメトレキセドを用いることとした.登録患者数は 各群 250 人の計 500 人,登録期間 3年,追跡期間 3年, 解析期間 1年の総研究期間を予定している.EGFR-TKI に途中挿入するプラチナ併用化学療法は,またこの臨床 試験に並行して治療前中後に採取した生検検体や末梢血 circulating free DNAを用いた試料解析研究を実施する 予定であり,これにより治療への耐性機構を明らかにす るとともに,試験治療がEGFR-TKI 耐性を予防するとい う仮説を分子生物学的に裏付けることを狙っている. NEJ009 試験や本試験によって,EGFR遺伝子変異陽性 肺癌に対するEGFR-TKI とプラチナ併用化学療法との 併用の意義が明らかになり,この集団に対する治療成績 がさらに向上することが期待される. 本論文内容に関連する著者の利益相反:神田慎太郎[委受託

haigan

A Phase III Study Comparing Gefitinib and Inserted Platinum-doublet Chemotherapy with Gefitinib as a First-line Treatment for Patients with Advanced Non-squamous Non-small Cell Lung Cancer Harboring &lt;i&gt;EGFR&lt;/i&gt; Activating Mutations