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━━ Now the first-line epidermal growth factor receptor (EGFR) tyrosine kinase inhibitor (TKI) therapy is a standard first-line treatment for patients with non-small cell lung cancer (NSCLC) harboring an EGFR mutation. However, to further improve the clinical outcomes in this cohort, new treatment options need to be developed. The first-line combination of EGFR-TKI plus platinum-based doublet chemotherapy is a promising strategy. As a result, we conducted a randomized phase II NEJ005 TCOG0902 study and a phase III NEJ009 study to explore the efficacy and safety of combinational EGFR-TKI and chemotherapy in the EGFR-mutated setting. The rationale of the combinatorial approaches and results of the NEJ005 TCOG0902 study are summarized in this report. (JJLC. 2015;55:871-878) KEY WORDS━━Non-small cell lung cancer, EGFR-TKI, Chemotherapy, Combination, EGFRmutation Reprints: Satoshi Oizumi, First Department of Medicine, Hokkaido University School of Medicine, North 15, West 7, Kita-ku, Sapporo 060-8638, Japan (e-mail: soizumi@med.hokudai.ac.jp). 要旨━━Epidermal growth factor receptor(EGFR)遺 伝子変異陽性の進行期非小細胞肺癌において,初回 EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療はいまや標準 療法となった.ただしその予後はいまだ限られており, この集団における治療成績の向上のために新たな治療戦 略を考えていくことがさらなる目標となる.初回治療か らのEGFR-TKI とプラチナ療法の併用療法は有望な治 療法と考えられ,北東日本研究機構(NEJ グループ)で は,NEJ005 TCOG0902 試験(EGFR遺伝子変異陽性非小 細胞肺癌に対するゲフィチニブとカルボプラチン ペメ トレキセドの同時併用療法と交代併用療法の第 II 相試 験)およびNEJ009 試験を遂行して,このコンセプトをこ れまで検証してきている.本稿では著者らが発表してき たNEJ005 TCOG0902 試験のデータを中心にして,この 治療戦略について考察する. 索引用語━━非小細胞肺癌,EGFRチロシンキナーゼ阻 害剤(EGFR-TKI),化学療法,併用,EGFR遺伝子変異 1.非小細胞肺癌における EGFR 遺伝子変異と EGFR-TKI の治療効果 非小細胞肺癌における重要なドライバー遺伝子異常 は,やはり epidermal growth factor receptor(EGFR)遺 伝子変異である.本邦のNEJ002 試験あるいはWJTOG 3405 試験より,EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌の 初回治療において,ゲフィチニブがプラチナ療法を凌駕 する高い効果をもたらすことが報告された.1,2 同じよう なコンセプトの第 III 相臨床試験がエルロチニブあるい 1北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野. 別刷請求先:大泉聡史,北海道大学大学院医学研究科呼吸器内 科学分野,〒060-8638 札 幌 市 北 区 北 15 条 西 7丁 目(e-mail: soizumi@med.hokudai.ac.jp). ※第 55 回日本肺癌学会学術集会シンポジウム 1「EGFR-TKI 治 療成績のさらなる改善をめざして」. (肺癌.2015;55:871-878) 2015 The Japan Lung Cancer Society Combination of EGFR-TKI and Chemotherapy for EGFR-mutated NSCLC―Oizumi 872 Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp Table 1. Efficacy of First-line EGFR-TKI in EGFR-mutant NSCLC: Results from Phase III Trials RR % EGFR-TKI PFS (median) mo EGFR-TKI PFS (median) mo Chemotherapy PFS HR (95% CI) NEJ002 (Gefitinib) n=228, 114 Gefitinib 73.7 10.8 5.4 0.30 (0.22-0.41) WJTOG3405 (Gefitinib) n=172, 86 Gefitinib 62.1 9.2 6.3 0.49 (0.34-0.71) IPASS (Gefitinib) n=261, 132 Gefitinib 71.2 9.5 6.3 0.48 (0.36-0.64) OPTIMAL (Erlotinib) n=154, 82 Erlotinib 82.9 13.1 4.6 0.16 (0.10-0.26) EURTAC (Erlotinib) n=174, 86 Erlotinib 58.0 9.7 5.2 0.37 (0.25-0.54) LUX-Lung 3 (Afatinib) n=345, 230 Afatinib 61.0 11.1 (13.6) 6.9 (6.9) 0.58 (0.43-0.78) 0.47 (0.34-0.65) RR, response rate; PFS, progression-free survival; mo, months; HR, hazard ratio; CI, confidence interval. はアファチニブを試験治療群として行われ,同様の結果 が報告されている(Table 1).3-5 よって現在,EGFR遺伝 子変異陽性の非小細胞肺癌においては,EGFRチロシン キナーゼ阻害剤(TKI)による初回治療が標準療法として 確立している.いかに EGFR遺伝子変異陽性の集団の治 療成績をさらに向上していくかが,重要な課題である. 2.EGFR-TKI 耐性時の治療戦略について EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌では,TKI 耐性 細胞が優勢になってもまだ感受性のある細胞が残存して いるという考え方が存在する.6 よってTKI 耐性時(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST) PD;progressive disease)の治療戦略については,これ まで,1)PD後のTKI 継続,2)細胞障害性薬剤を用い た化学療法へのスイッチ,3)TKI 継続に化学療法の追 加,などの治療法が検証されてきた.さらに最近では耐 性機序に基づき,T790M特異的な第 3世代TKI が開発 されて,早期の臨床応用が期待されている(Figure 1). このうち「TKI 継続に化学療法の追加」のコンセプト を検討した IMPRESS 試験の結果が,2014 年のヨーロッ パ臨床腫瘍学会で発表された.進行期 EGFR遺伝子変異 陽性例を対象として,初回ゲフィチニブに SD(stable disease)以上の効果がありRECIST PDになったとき に,ゲフィチニブを継続しながらシスプラチン ペメトレ キセドを追加する群と,プラセボ+シスプラチン ペメト レキセドの群を比較して,TKI 継続の意義が検証され た.しかし主評価項目の無増悪生存期間は両群で差がな く,7 現時点では EGFR遺伝子変異陽性例において少な くともゲフィチニブで PDになったときには,いまだ化 学療法単独への切り替えが標準治療であると解釈するこ とができる. 3.EGFR-TKI とプラチナ療法の併用―その rationale と過去の臨床試験での成績― 既述のように,TKI 耐性後のTKI とプラチナ療法の併 用は現時点で日常臨床には応用できないが,まだ耐性に なっていない時点,すなわち初回治療からの併用は有望 である可能性があり(Figure 1),北東日本研究機構(NEJ グループ)では早くからこのコンセプトを検討してきた. 実際NEJ002 試験でもWJTOG3405 試験でも全治療期 間を通じて,TKI とプラチナ療法の両方が施行された群 が,TKI のみの群よりも生存成績がよくなっている.8,9 これらのデータにはもちろん limitation があるが,本集 団においてTKI はキードラッグであるものの,プラチナ 療法の施行も重要であることを示唆している.さらに初 回のTKI 治療にしろ,プラチナ療法にしろ,二次治療で 必ず残された治療にクロスオーバーすることは不可能で あり,初回から両治療が同時に施行されることは,単純 にしてもっとも有効な治療戦略である可能性がある. TKI とプラチナ療法を併用するときには,同時併用 法,交代併用法などのいくつかの投与スケジュールが今 までに検討されてきた(Figure 2).このうち同時併用法 については,早くから EGFR遺伝子非選択の集団を対象 として検討されてきた(Table 2).10-15 しかし,どの試験 Combination of EGFR-TKI and Chemotherapy for EGFR-mutated NSCLC―Oizumi Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp 873 Figure 1. Treatment strategy in EGFR-mutated NSCLC. Figure 2. Treatment schedule for the combination of TKI and platinum-based therapy in concurrent and sequential strategies. Table 2. EGFR-TKIs+Platinum-based Therapy in Unselected NSCLC Cohort Response % CT+EGFR-TKI OS (median) CT+EGFR-TKI OS (median) CT INTACT1 (CDDP/GEM±Gefitinib) 50.3 (250 mg) 9.9 m (250 mg) 10.9 m INTACT2 (CBDCA/PTX±Gefitinib) 30.4 (250 mg) 9.8 m (250 mg) 9.9 m TRIBUTE (CBDCA/PTX±Erlotinib) 21.5 10.6 m 10.5 m TALENT (CDDP/GEM±Erlotinib) 31.5 43.0 w 44.1 w Response % CT+EGFR-TKI TTP (median) CT+EGFR-TKI TTP (median) CT TRIBUTE subgroup analysis EGFR mutation+ 53.0 12.5 m 6.6 m OS, overall survival; CT, chemotherapy; CDDP, cisplatin; GEM, gemcitabine; CBDCA, carboplatin; PTX, paclitaxel; TTP, time to progression. も TKI とプラチナ療法の併用についてプラチナ療法単 独と比較して,全生存期間のベネフィットを証明できて いない.この理由として,TKI が G1 cell cycle arrest を誘導するので,細胞周期依存性の細胞障害性薬剤の効 果をさまたげるという報告が以前よりある.16 交代投与 法を採用した臨床試験では,FASTACT-2 試験が代表的 である.全体集団のみならず,EGFR変異陽性サブグルー プ解析でも全生存期間の優越性が証明された.17 また TKI を休止して再開すると,再び腫瘍サイズの縮小や PET集積の低下などの治療効果が得られたとの報告も ある.18 さらにTKI とプラチナ療法の併用をするときに,どの 薬剤をプラチナ療法に採用するかを考える必要がある. ゲフィチニブやラパチニブなどのTKI が,肺癌をはじめ として胃癌や乳癌細胞のチミジル酸合成酵素(TS)のレ ベルを低下させると報告されている.19-21 これらの結果 は,TSをターゲットとするペメトレキセドがTKI との 併用レジメンの候補になりうることを示唆している.さ らにペメトレキセド維持療法の有用性が示されて,22 す でに非扁平上皮癌において標準治療となっており,さら なる予後の改善のために維持療法を採用することを考慮 する必要がある. 4.EGFR 遺伝子変異陽性症例におけるEGFR-TKI とプラチナ療法の併用の試み―NEJ005 TCOG 0902 試験― これらの rationale を検証するために施行されたのが, NEJ005 TCOG0902 試験(EGFR遺伝子変異陽性の非小 Combination of EGFR-TKI and Chemotherapy for EGFR-mutated NSCLC―Oizumi 874 Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp Figure 3. NEJ005/TCOG0902 study design. sq, squamous; PS, performance status. Figure 4. Progression-free survival (A) and overall survival (B) for all randomly assigned patients in NEJ005/ TCOG0902 study. 細胞肺癌における初回のTKI とプラチナ療法の併用療 法)である.23 本試験では,同時併用療法と交代併用療法 の 2群を設定して比較検討した. 本試験における両群のゲフィチニブとカルボプラチ Combination of EGFR-TKI and Chemotherapy for EGFR-mutated NSCLC―Oizumi Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp 875 Figure 5. Response to the concurrent and the sequential alternating regimens in NEJ005/TCOG0902 study. CR, complete response; PR, partial response; SD, stable disease; PD, progressive disease. Table 3. Most Commonly Reported Adverse Events Reported in NEJ005/TCOG0902 Study Toxicity Concurrent regimen (n=41) Sequential alternating regimen (n=39) Grade* 1 2 3 4 >_Grade 3 1 2 3 4 >_Grade 3 Vomiting 8 4 1 0 2.4% 4 2 0 0 0.0% Appetite loss 16 11 3 0 7.3% 10 10 0 0 0.0% Fatigue 12 10 1 0 2.4% 12 3 0 0 0.0% Rash 20 12 1 0 2.4% 20 10 0 0 0.0% Diarrhea 14 6 4 0 9.8% 14 2 0 0 0.0% Stomatitis 13 6 2 0 4.9% 7 1 0 0 0.0% Pneumonitis 1 1 0 0 0.0% 0 1 0 1 2.6% AST/ALT elevation 16 9 4 0 9.8% 14 9 8 0 20.5% Neutropenia 1 11 15 5 48.8% 1 5 13 5 46.2% Febrile neutropenia 0 0 1 0 2.4% 1 0 1 1 5.1% Anemia 11 5 9 5 34.1% 14 8 5 0 12.8% Thrombocytopenia 8 6 6 11 41.5% 9 8 8 3 28.2% *Grade of National Cancer Institute Common Toxicity Criteria (NCI-CTC) version 3.0. ン ペメトレキセドの投与法については,Figure 3 を参 照していただきたい.同時併用群では,ゲフィチニブ(250 mg 日,連日)とカルボプラチン ペメトレキセド(area under the curve(AUC)=6および 500 mg m2,3 週ごと 6サイクルまで)併用を施行,その後ゲフィチニブ ペメ トレキセド単剤の併用維持療法を継続した.交代併用群 ではゲフィチニブを 8週間連日投与してからカルボプラ チン ペメトレキセドを 2サイクル施行する交代療法を 3回繰り返した後,ゲフィチニブとペメトレキセド単剤 の交代維持療法を継続した.主評価項目は無増悪生存期 間,副次評価項目は全生存期間,奏効率,安全性とした. 目標症例数は Simon の手法により設定し,各群 40 例と した. 主評価項目の無増悪生存期間は同時併用群で中央値 18.3 ヵ月,交代併用群で 15.3 ヵ月(Figure 4),さらに奏 効率はそれぞれ 87.8%と 84.6%であった.全生存期間は Combination of EGFR-TKI and Chemotherapy for EGFR-mutated NSCLC―Oizumi 876 Japanese Journal of Lung Cancer―Vol 55, No 6, Oct 20, 2015―www.haigan.gr.jp Figure 6. Phase III NEJ009 study design. immature であるが,同時併用群で中央値 41.9 ヵ月,交代 併用群で 30.7 ヵ月であった(Figure 4).直接比較ではな いものの,ゲフィチニブ単剤での従来の成績と比較して (Table 1),さらに良好な無増悪生存期間や奏効率が得ら れている.また毒性は予測可能であり,薬剤性肺障害を 含めて相乗効果で増強することはないと考えられた(Table 3).よって EGFR遺伝子変異陽性例において,初回か らのTKI とプラチナ療法の併用は有望な治療戦略と考 えられる. 5.NEJ005 TCOG0902 試験からみえてくるもの 本試験における全生存期間のデータは immature であ るが,今のところ同時併用群の方が良好である.この機 序の解明でヒントとなり得るのが,waterfall plot である (Figure 5).交代併用群(交代でゲフィチニブ単剤または プラチナ療法のどちらかで治療)では,ゲフィチニブ単 剤療法中に短期間で増悪している症例がある.現時点で はあくまで推察であるが,T790M変異や BIM多型など のEGFR-TKI 初期耐性をプラチナ療法が補うことに よってさらなる効果をもたらした可能性がある.このよ うに,ドライバー遺伝子異常を持つ集団において分子標 的薬と殺細胞性抗癌剤がそれぞれの弱点を補い合えば, 併用によってさらなる高い治療効果を達成できるかもし れない. 6.第 III 相試験NEJ009 について NEJ グループでは,このTKI とプラチナ療法の併用が 日常臨床で応用できるかを,標準治療の初回ゲフィチニ ブ単剤療法と比較する第 III 相試験NEJ009(UMIN 6340)を行って検証中である(Figure 6).安全性は もちろんのこと,日常臨床での利便性を考慮して,試験 治療となるレジメンには同時併用法を採用した.主評価 項目を全生存期間として目標症例数は 340 例に設定され たが,2014 年 9 月末で登録が完了して現在追跡期間に 入っている. また今後,JCOGとWJOGのインターグループ研究と してもTKI とプラチナ療法の併用の治療効果を検証す る第 III 相試験が開始予定であり,将来的に日常臨床で この治療戦略を応用できるかどうか,明らかになること が期待される.

Combination of EGFR-TKI and Platinum-based Therapy for <i>EGFR</i>-mutated Non-small Cell Lung Cancer