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2 長期高温疲労寿命予測 1 緒 言 2・1 超高サイクル疲労が想定される機器 火力発電用ボイラやタービンなどのエネルギー関連 機器に代表される高温機器は数十年の長期に渡って運 転されるものが多いため,その安全性を確保するために は,部材の負荷に対する長期耐久性(長期寿命)をより 正確に予測することが重要である. まず,長期の運転に伴って,負荷の繰返し数が 10 回 程度の超高サイクル(ギガサイクル)域まで達する例と して,新幹線の車軸を紹介する(本例は高温機器ではな いが,長期疲労寿命予測の課題としては高温機器にも当 てはまると思われるため紹介する).図 1 に鉄道車両用 輪軸と輪軸が受ける荷重を示す .車軸は車両重量によ る垂直方向の力と,その両端に圧入された車輪とレール の接触による水平方向の力を回転しながら受ける.その 結果,車軸は回転曲げ疲労状態となり,図 2 に示すよう に車輪が回転する毎に,応力振幅すなわち曲げ荷重が変 動している(周波数 50Hz 程度).車軸の平均寿命は延 べ走行距離にして 400 万 km を超えると考えられ,これ を負荷繰返し数に換算すると約 1.4x10 回となり,ギガ サイクル域に達する . そのためには,実機で想定される負荷形態に応じて, 部材の疲労試験,クリープ試験,あるいはクリープ疲労 試験を行い,長期破損寿命を推定する必要がある.試験 条件としては,実機運転条件に近いことが望ましいが, 当然ながら,試験時間が長くなり過ぎるので,試験温度, 負荷応力,あるいは負荷周波数を実機運転条件よりも高 く設定した加速試験を行い,試験データを外挿して長期 破損寿命を予測するのが一般的である.これまでに,負 荷形態ごとに幾つかの外挿法が提案されて来たが,以下 に示すような未解決の問題が残されている. 高温疲労については,クリープ効果が現れるような低 周波数領域を除いては,繰返し数依存型の破壊であるた め,負荷周波数を加速することにより,超高サイクル疲 労などの長期寿命を短期間で評価できる.しかし,材料 によっては周波数の加速に制限があり,短時間試験での 評価が難しいため,本報では,この問題を解説する. クリープについては,時間依存性の破壊であるため, 加速試験結果を外挿して長期寿命を予測せざるを得な い.しかし,近年,火力発電用材料である高クロム鋼に おいて長期寿命を過大評価した事例などが発生してい るため,本報では,その現状と改善のための取組につい て解説する. 図 1 鉄道車両用輪軸と荷重

Prospect of Life Prediction in Long-Term Fatigue, Creep and Creep-Fatigue for Components Operated at Elevated Temperatures