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1 緒 論 実機には曲げ加工により成型された板材部品が多く用 いられており,これらが繰返し負荷を受けて疲労破壊す る事例が報告されているが,この曲げ加工が板材の疲労 強度に及ぼす影響について検討した研究事例は極めて少 ない.1), 2)このような曲げ加工材の疲労強度に関する知見 は,多数の曲げ加工成型部材により構成される実機の疲 労設計に役立つだけでなく,曲げ加工法の改善や他の疲 労破壊防止策について検討するためにも必要不可欠なも のである. 本研究では,種々の曲率半径を有するアルミニウム合 金の 90°曲げ加工板材を用いて両振り面外曲げ疲労試験 を行い,この曲げ加工が板材の疲労強度に及ぼす影響に ついて調べた.3)~ 5)さらに,曲面状に加工された曲げ部内 側表面から発生,成長する疲労き裂の進展挙動を観察す るとともに,繰返しにともなう曲げモーメントやひずみ の変化を測定した.得られた試験結果を平板平滑試験片 のそれと比較することにより,曲げ加工が板材の面外曲 げ疲労強度に及ぼす影響について詳細に検討した. 2 試料および試験方法 2・1 供試材および試験片 供試材は板厚 3mmのアルミニウム合金 A5052P-H34 板材である.引張試験片および疲労試験片は,その長手 方向がいずれも素材の圧延方向と一致するように採取し た.供試材の化学成分と機械的性質を Table 1に示す. まず,素材を Fig. 1 (a)に示す形状の平板平滑試験片に 機械加工し,さらにこれを Fig. 1 (b)に示すように,挟 み角が 90°となるよう曲げ加工した.曲げ加工部内側の 曲率半径は 15,6および 3mmの 3種類であり以後,こ れらの試験片をそれぞれ,R15,R6,R3曲げ加工材と表 記する.なお,各試験片の最小断面部の板幅は基本的に アルミニウム合金板材の面外曲げ疲労強度に及ぼす曲げ加工の影響 大 川 慶 工 藤 充 史 安 藤 丈 裕 大 川 功 Effect of Bending-Work on Fatigue Strength of Aluminum Alloy Plate under Out-of-Plane Bending