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1 緒 言 空調機や給湯機は圧縮機,蒸発器,膨張弁,凝縮器お よび熱交換器などで構成されており,各構成機器の間お よび内部には,冷媒を巡回させるための銅配管が縦横無 尽に配置されている.これら銅配管の構造は,直線部, 曲げ加工部およびロウ付継手部などが混在しており,複 雑多岐にわたっている.このような配管構造の中で,曲 げ加工部は,曲げ変形による配管横断面の扁平・偏肉が 耐圧強度を低下させるので,強度設計上の要注意部位で ある. 曲げ変形による配管横断面の扁平・偏肉が耐圧強度を 低下させることは,古くから良く知られていた.1)~ 3)特に, 扁平・偏肉による応力集中は,疲労強度に対して顕著に 影響するので,静圧破壊強度の低下よりも内圧疲労強度 の低下に注意しなければならない.現時点では,実際に 曲げ加工した配管試験片を用いて,内圧疲労試験を実施 することで,その疲労強度を確認しているのが実情のよ うである.4)~ 7) 近年,環境破壊防止を目的として,CO2冷媒を採用し ている給湯機の普及や空調機の開発が進められている.8) CO2冷媒は,従来の冷媒より高圧で作動するため,これ らの製品には高い信頼性が要求される.また製品である 限りは,低コスト化についても,今までどおり市場から 要求され続ける.このような状況の中で,曲げ加工によ り横断面が扁平・偏肉した銅配管の疲労破壊現象を解明 することは,製品の信頼性を損なうことなく低コスト化 を実現できる高精度な疲労設計技術の構築につながるた め,重要であると考える. 本論文では,内圧作用下における曲げ加工された銅配 管の疲労破壊現象を解明した内容について報告する.ま ず,曲げ加工された銅配管の内圧疲労試験を実施し,つ ぎに,その疲労破壊状況および扁平・偏肉した横断面の 応力状態について検討した.最後に,これら試験結果お よび検討結果を考察して,曲げ加工された銅配管の内圧 疲労破壊現象を解明した. 2 曲げ加工された銅配管の内圧疲労試験結果 2・1 内圧疲労試験方法と銅配管試験片 本検討で使用した内圧疲労試験装置を Fig. 1に示す. 本装置は,電気油圧サーボ式疲労試験機のアクチュエー タ部に設置された油圧シリンダーを用いて,銅配管試験 片に内圧負荷を繰返し作用させる装置である.作用圧力 の設定は,銅配管試験片の出口側に設置された圧力セン サーをモニターすることによって実施した.試験結果と して得られる疲労寿命は,油の漏洩による圧力低下が生 内圧作用下における曲げ加工された銅配管の低サイクル疲労破壊現象 田 宮 洋 一 Low-Cycle Fatigue Fracture Phenomenon of Bended Copper Pipes under Internal Pressure